議会活動

特別支援教育の充実について

平成 24 年 2 月定例会:代表質問 (2)

◯中小路健吾君

次に特別支援教育の充実についてお伺いします。
平成 19 年に施行された改正学校教育法によって特別支援教育がスタートし、およそ5年が経過をいたしました。

特別支援教育はその理念にあるように、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援するという視点に立ち、「幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うこと」を目的として始まりました。

また、それまでの特殊教育の対象となっていた障害だけではなく、知的な遅れのない LD や ADHD、高機能自閉症等も含めることとし、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍するすべての学校において実施することとされ、その対象・守備範囲が広がったことも大きな特徴だと言えます。

そこで、特別支援教育の導入から5年を経過した現在、本府の状況と今後の見通しを踏まえたうえで、特別支援教育の量的・質的充実の必要性を訴える立場から以下数点質問をいたします。

ここ10年間の本府における府立特別支援学校の児童生徒数の推移を見ると、平成 14 年度で 1,246 名。その後、特別支援教育が始まる平成 19 年度は 1,228 名とその間は 1,200 名代で推移します。ただ、それ以降直近の5年間の推移を見ますと、平成 20 年度 1,263 名、21 年度 1,287 名、22 年度 1,343 名、23 年度 1,381 名と増加傾向にあります。 同様に、ここ10年間の京都市をのぞく小・中学校における特別支援学級の在籍児童生徒数の推移を見ましても、平成 14 年度から平成 18 年度の 5 年間では 1,065 名が 1,130 名 と漸増ですが、平成 19 年度から平成 23 年度については 1,181 名から 1,463 名へと増加のスピードが強まっています。特に、小学校についてはこの 10 年間で在籍児童生徒数が約 1.5 倍近くに増加しており、その傾向が顕著だと言えます。

こうした特別支援教育に係る児童生徒数の増加傾向は、同じ10年間の全児童数がほぼ横ばいか漸減傾向にある中において特徴的であると言えると同時に、特別支援教育が導入されたことによる必然的な結果であると言えます。

そこで、本府においてはこうした現状をどのように分析し、今後の見通しをどのように想定されておられるのかお伺いします。

こうした傾向を踏まえると、今後、特別支援教育の充実・強化を図っていく上では「量」の面、「質」の面、両面における充実が不可欠だと言えます。

そこで次に、特別支援学校の今後の整備についてお伺いします。

特別支援学校の児童生徒数の増加傾向は本府のみならず全国的な傾向にあります。例えば、お隣の滋賀県においても、特別支援学校の児童生徒数は平成 14 年度の 1,117 名から平成 23 年度には 1,930 名とおよそ 1.7 倍に増加し受入能力のひっ迫が予想されているとお聞きをしております。

この点、本府においては平成 14 年度に策定した府立養護学校の再編整備計画に基づき、平成 17 年の舞鶴支援学校の設置、平成 22 年の八幡支援学校、平成 23 年の宇治支援学校の新設など、計画的にその再編整備を着実に進めてきて頂いたところであります。

そこでまず、これまで進めてきた再編整備の成果の上に立って、現在の特別支援学校全体の受け入れ能力をどのように評価され、課題をどのように認識しておられるかお聞かせ下さい。

私は、特別支援学校の新規設置などこれまでの再編整備計画が一段落した現在、施設の老朽化への対応や新しい特別支援教育の内容を充実していく上での機能性の向上など、既存施設の活用方法を早急に検討し、計画的に実施をしていく必要があるかと存じますが、併せてご所見をお伺いします。

さて、こうした特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒数の増加を踏まえれば、当然のことながら、特別支援教育に携わる教職員の確保と育成が重要な課題となってきます。

特別支援教育を充実・強化していく上で最も大切となるのは、まさに現場の第一線で子どもたちと携わる教職員であることは間違いありません。その意味では、教職員の量の面、質の面での充実が欠かせません。

先ほども少し触れましたが、特別支援教育が始まり、これまでの特殊教育が対象としていた視覚障害・聴覚障害・運動機能障害・知的障害等の器質性障害に加え、LD、ADHD、高機能自閉症などのいわゆる発達障害もその守備範囲となりました。こうした対象となる児童生徒が拡大をするということは、言うまでもなく、そこで提供されるべき教育にも「多様性」が求められますし、それぞれ個々にあった教育を提供していくための「専門性」も求められます。

この間、本府においては「特別支援教育充実事業」により小中学校に 100 名の非常勤講師を配置するなどご尽力をいただいてきたところではありますが、現在のような特別支援教育に係る児童生徒数の増加傾向を踏まえれば、量の面、さらには質の面においてもまだまだ課題があろうかと存じます。

そこで、特別支援教育体制における教職員の現状をどのように総括され、今後、その確保・育成に向けてどのような取組みを行っていこうとされているのかお伺いをいたします。

最後に、特別支援教育に係る各種機関の連携体制についてお伺いします。

特別支援教育の推進にあたり重要な役割を果たすのが特別支援教育コーディネーターです。

特別支援教育コーディネーターは、個々の教育的ニーズの把握と学校内の支援、保護者や医療・福祉機関等学校外の機関との連絡調整を担う重要な役割を果たすとされています。

本府においては、平成 22 年度までに総合教育センターの研修等を 1,200 名が修了し、すべての小中学校において指名されたとお聞きしております。

また、同様に特別支援学校においては専任の地域支援コーディネーターがすべての府立特別支援学校に 29 名配置をされているとお聞きしております。

こうした状況を考えると、統計的には特別支援コーディネーターの量的な充足は一定してきているようには思われますが、一方で質的な能力の向上が必要な段階になってきているのではないかと考えます。もちろん、現場においては急増する児童生徒数を目の当たりにして、相当な負担が特別支援コーディネーターにかかっている現状も指摘をされています。

そこで、特別支援コーディネーターや地域支援コーディネーターの現状と課題についてどのように考えておられるのかご所見をお伺いします。

特別支援教育における関係諸機関との連携を考えた場合に、就学前後の福祉分野とのスムーズな連携の強化が欠かせないかと存じます。

本府においては、地域等連携総合推進事業の中において相談ファイルを活用した情報共有体制の構築を図ろうとされておられますが、その活用状況はいかがでしょうか。課題等も含めお聞かせ下さい。

○教育長(田原博明君)

特別支援学校及び特別支援学級の児童生徒数についてでありますが、特別支援教育の法制化等に伴い、特別支援教育に対する理解が進むなかで、全国的な傾向と同様に本府においても増加をしてきております。

今後の見込みについてでありますが、北部では、ほぼ横ばいで推移するのに対しまして、学齢期を迎える子どもの増加が見込まれる南部では、近年、特別支援教育の対象児童生徒が集中して増加をしていることから、今後も増加をするものと見込んでおります。

特別支援学校につきましては、再編整備計画が完了したものの、府南部では、ここ 2・3 年、これまでにない増加を示しておりまして、今後もこの顕著な増加が続く場合には、何らかの対策が必要になると考えております。

一方、現在国においては障害の有無に関わらず小中学校で共に学ぶとした、インクルーシブ教育の検討が進められておりまして、その動向も注視し、適切に対応して参りたいと考えております。

また、既在の特別支援学校の施設につきましても、老朽化への対応や新たな教育ニーズに対応できる設備の充実を図る必要があるものと考えております。

次に、教職員の確保と育成についてでありますが、特別支援学校や特別支援学級の児童生徒数の増加に対応し、特別支援教育を充実する上で極めて重要なことであります。

このため、平成 18 年度から特別支援学校を希望する教員の採用枠を設けまして、これまで 200 名を越える意欲ある教員を採用したところであります。

また、今年度から小中学校と特別支援学校との人事交流制度を設けるなど、特別支援学校のみならず小中学校教員のこの分野での専門性向上に取り組んでいるところであります。

今後は、指導経験が豊かなベテラン教員が大量退職し、新規採用教員が増加していることから、ベテラン教員の専門性を円滑に継承する仕組みを更に検討して参りたいと考えております。

次に、特別支援教育コーディネータについてでありますが、府内全ての小中学校におかれておりまして、特別支援教育を推進する校内体制が整ったところであります。

現在、コーディネータ能力を高めるため、経験に応じた段階別の研修講座を実施しているところでありますが、学校内外の調整役としての機能を十分に発揮するためには、学校全体で取り組むことが重要であります。

今後は、学校が組織として一丸となって取り組める体制づくりを進めて参ります。

また、特別支援学校につきましては、地域の小中学校などからの多様な相談に対応していることから、その専門性を更に向上をさせる必要があると考えております。

このため、京都府スーパーサポートセンターを中核といたしまして、府内の相談・支援体制のネットワーク化を図ったところでありますが、今後はこのネットワークを十分に機能させ、各地域での取組の成果を府内全体で共有することにより、地域支援コーディネータの更なる専門性の向上に取り組んで参ります。

最後に、相談・支援ファイルについてでありますが、府内の 11 の市町で活用が始められており、その有効性を保護者をはじめ多くの関係者の御理解いただく必要があることから、福祉部局等との連携を更に強化し、先進地域での成果を広めることによって、一層の活用促進を図って参りたいと考えております。

今後とも本府における特別支援教育の充実に向け、しっかりと取り組んで参ります。

◯中小路健吾君

特別支援学校・学級に通学する生徒の増加は大きな課題である。これまで学校の再編整備が進められてきたが、新設校と既在校の間で施設の整備状況に相当な差が生じてきている。

今後は計画の策定も含め、計画的な施設整備を検討いただきたい。