議会活動

公共交通政策の今後のあり方について

平成 23 年 9 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

まず初めに、本府における公共交通政策の今後のあり方についてお伺いします。

これまでから、鉄道やバスなどの公共交通網の充実と利便性の向上など、その機能強化の必要性については、地球温暖化対策など環境面、人口減少・高齢化に伴う地域内のモビリティ確保など、さまざまな観点から指摘をされてまいりました。また、こうした公共交通機能の強化については、人口や地理的条件、既存の公共交通網の整備状況、道路の整備状況など、本府が抱えるそれぞれの地域特性を考慮する必要性と、そうした地域間をつなぐ本府全体のネットワーク化の必要性という観点から、我が会派においては総合的な交通網整備、総合交通計画の策定が必要であると訴えてまいりました。

そこでまず、公共交通政策を推進していくための組織・体制のあり方についてお伺いします。

今後の自治体の公共交通政策を考える上で重要な1つの点は総合性という観点です。従来からの自治体の交通政策は、どちらかといえば、バスはバス、鉄道は鉄道、自転車は自転車、自動車交通は自動車交通というように、それぞれ手段別の個別の対策として考えてこられた傾向がありました。しかし、「交通」という言葉を「出発地から目的地までの移動」というふうに定義をするならば、実際にはそれぞれの交通手段は単独で完結するというよりも相互に組み合わされるものですし、人はそれぞれが置かれている状況の中で、移動する時刻や移動にかかる時間、費用、快適性など、さまざまな要因を考慮した上でみずからの移動手段を選択します。その意味で、公共交通機関としてのバスや鉄道単体での事業の状況だけを考えるのではなく、周辺の道路網整備との関係や都市施設の整備など、まちづくり全体との整合性などを総合的に考える必要が生じてまいります。

第2は、戦略性の観点です。これまでの時代のように人口が増加をしていく局面においては、人の集まるところ、あるいは人の移動の需要が見込まれるところに公共交通機関が参入をしてくることが通常のモデルであったと言えます。つまり、民間事業者が参入するだけのインセンティブが非常に高かったと言えますし、ある意味、民間事業者が戦略的に投資をし得る環境が整っていたと言えます。しかし、人口が減少し、さらに高齢化が進んでいく現在のような局面においては、新しく人の流れをつくり出すようなまちづくりや、逆に公共交通機関等の利便性を高めることによって新しい人の流れや人のにぎわいを積極的につくり出していくことが必要となります。私はここにこそ、ともすれば事業者任せになりがちであった公共交通政策に自治体が積極的にかかわっていくべき理由があるのでは
ないかと考えます。

本府においては、平成 20 年4月の組織改正において、道路・鉄道等を一体的に実施する総合的な交通政策を推進するために、それまで企画環境部にあった交通対策課を土木建築部に移管し、名称も建設交通部と改められました。

そこでまず、この間の組織改正後のさまざまな取り組みについての成果と課題について、どのように認識しておられるかお伺いします。

その上で、私は今後、総合的かつ戦略的な交通政策を推進していくに当たり、現行の推進体制の強化と人材育成の必要性があるのではないかと考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。

次に、京都府南部の公共交通機能の充実・強化についてお伺いします。現在、乙訓地域においては、第二外環状道路の整備と長岡京市の調子に新たに設置されます阪急新駅の整備が平成 25 年春の供用開始を目指して着々と進められているところです。御案内のとおり、今回新たに設置される新駅については、阪急電鉄京都線の長岡天神駅と大山崎駅の間に位置し、整備中の第二外環状道路の高架下を利用した形で駅舎や周辺施設が整備されるという全国でも非常に珍しい立地の駅であり、新駅のすぐ西側には、(仮称)長岡京インターチェンジが設置され、まさに高速道路網と鉄道交通網が結節する非常に大きな可能性を秘めた地域となります。

本府においても、平成 21 年度から新駅の整備に当たり、交通結節点機能高度化支援事業という形で御尽力をいただいているところであり、私からもこの場をおかりし感謝申し上げたく存じます。

そこで、今回は二外と新駅が供用開始になった後、新駅やインターチェンジをいかに活用していくのかという観点から知事の御所見をお伺いしたいと存じます。

私は、今回新たに設置される新駅やインターチェンジを中心とする地域について、周辺の道路網や鉄道との関係から見ても、公共交通機関の利用促進、とりわけバス交通の充実・強化という観点から3つの大きなポテンシャルを持っているのではないかと考えています。

1つは、地元市町村の生活交通を支えるネットワークの拠点であります。今回の新駅は長岡京市と大山崎町の境に位置し、今回新たに駅が設置されることによって、既存のバス路線や既に長岡京市で運行されているコミュニティバス、さらにはこれから運行を検討しようとされている大山崎町のコミュニティバス、こうしたものとどのように連携していくのかが非常に注目されます。実際に、長岡京市ではこうした公共交通ビジョンの策定に向けた「地域公共交通会議」の設置を目指した動きが始まっています。

第2の可能性は、広域的な地域間をつなぐ交通網の結節点という役割です。これまでから乙訓地域と隣接をする京都市伏見区、あるいは八幡市や宇治市などの山城地域をつなぐ東西の公共交通網は、桂川や宇治川などの河川によって分断されていた地理的条件もあり極めて貧弱でありました。結果として、公共交通機関を利用しようとした場合、どうしても京都駅を経由してJR奈良線や地下鉄、近鉄を利用するか、京阪を利用する場合は四条を一たん経由するなど、距離的にも時間的にも非常に非効率で、移動に際しては自家用車を利用するという選択に偏りがちでありました。

その意味で、今回新たに阪急新駅が設置されますと、例えば京都市伏見区の京阪淀駅とは直線にして約3キロメートルという位置関係になります。その意味でも、阪急沿線と京阪沿線をつなぐ新たな公共交通網としても大変魅力的なものとなり得ます。さらには、利用者の利便性を考慮すれば、京阪の急行停車駅である八幡市駅や、さらに特急停車駅でもある樟葉駅などとの連携も可能性があるのではないかとも考えます。また、目を北に向ければ第二外環状道路によって直結する亀岡市や京丹波町など南丹地域とのバス路線なども十分に考えられるのではないかとも考えます。

最後に3点目は、さらに広域的な観点から、全国とつながる高速バスの停留所としての機能です。現在、この地域の高速バスのバス停としては名神高速道路に大山崎バス停が設置されており、ことし4月の時点ではありますが、土日祝日のみ運行のものも含めると、上り下り合わせて1日当たり最大 39 路線、162 便のバス停として利用されております。しかしながら、実際の利用頻度は決して高いものではありません。その要因としては、大山崎のバス停までのアクセスが非常に悪く、自家用車での送迎抜きでは非常に利用しにくい点や、高速道路上への階段が非常に長く、上りおりが大変である点などが挙げられます。

その点、今回の新駅においては、駅前広場と第二外環状道路上に設置を予定している高速バスのバス停を直結するエレべーターを設置する計画となっており、利用者の利便性は格段に上がるものではないかと考えられます。もちろん、現在の路線を前提に考えれば、名神高速道路から往復で約 6.8 キロ第二外環状道路を余分に走らなければならず、試算によれば時間的に約 13 分ロスをすることになりますが、駅との直結という利便性等を考えれば、事業者にとってもメリットがあるのではないでしょうか。実際に地元の長岡京市が事業者に行った意向調査では、予想以上の関心が寄せられているともお聞きをしております。

以上のように、今後、実際の路線設定においては詳細な需要予測やマーケティングの必要性はあるものの、自動車交通、鉄道やバスなど公共交通の結節点としての新駅周辺が秘めるポテンシャルは大変大きいものがあります。

もちろん、こうした地域をいかに活用していくのかという点については地元市町の果たすべき役割が重要であることは言うまでもありませんが、今申し上げたように、京都府内の地域間交通網の充実と利便性の向上という観点からは、京都府も積極的かつ主体的に関与していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

着々と進められている道路網や交通インフラなどのハード整備とあわせて、そうしたハード整備をいかに活用していくかというソフト面での活用策が今求められております。知事の御所見をお伺いいたします。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

公共交通政策についてでありますけれども、確かに、今まではどちらかというと、それぞれの交通手段をつくるというところに主眼を置いて、開発志向型と申しますか、そういったことをやってまいりました。もちろん、そこのところは、先ほどの村田議員の御質問にありました奈良線を初めとして、まだまだたくさんあるんですけれども、同時に、こうしたつくったものを生かす時代ということも我々はしっかりと視野に入れていかなければならないというふうに考えております。

道路などインフラにつきましても、管理・活用の重要性は高まっておりまして、アセットマネジメントを的確に行うとともに、各交通インフラが相互に連携を深めてどうやって一番いい交通体系をつくり上げるか、これはKTRと地域のバスとの関係も、それで委員会をつくって、何とか接続をよくすることによって利用客を上げていくという手段も講じておりますけれども、こうしたことが必要になってまいりました。

それだけに、平成 20 年度から交通政策課を建設交通部へ移設して、すべての交通関係部局を一元的に所管することにいたしました。ただ、組織はできましたけれども、まだまだいろいろな問題が複雑に絡み合っている。北陸新幹線からリニア、奈良線、さまざまな問題もありますし、そこから、今度は第二外環ですとか鳥取豊岡宮津自動車道ですとか新名神とか、こうしたものが広がってまいりますので、まだまだ十分にそれを連携させて、そこに集中するというところまではいってないのが実情だというふうに私も思っております。

しかしながら、そうした中においても、次第に総合的な交通施策の形をつくっていく。そして、そのためには人材の育成が必要だということは御指摘のとおりだと思っておりまして、平成 21 年度からは京都大学大学院と連携いたしまして、建設交通部の職員に加え、民間の交通事業者の社員や自治体職員などを対象としました、都市交通政策技術者養成コースを開講いたしまして、ここで今までに 100 人を超える交通政策の技術者が養成されております。こうした人たちが核になってきて連携をしていくことによって、より総合的な交通行政について歩みを進めていきたいというふうに思っております。また、きのう大橋議員に対しましてKTRの復活についてもチームをつくるという話を申し上げましたけれども、我々の組織自体も、単に職員だけではなくて外部の人も積極的に取り入れていく形 で実力ある推進体制というものを壁を取り払ってさらにつくっていくことによって総合的な交通体系にしっかりと歩みを進め、それがまた最終的には総合交通の計画づくりへと進展していくように努力をしてまいりたいと考えております。

次に、府南部地域の公共交通の問題についてでありますけども、確かに、第二外環状道路と阪急電鉄京都線との交差部に新駅ができる、そしてそこに外環状道路のほうも、ある面では道の駅と申しますか、連結のための施設ができるということは、これは全国的にも珍しいケースでありまして、地元としての大きな役割、さらに広域的な観点からの役割というものも、私は今までにない試みができるというふうに思っております。

この施設は、そういう面では、これから大きな役割を果たすべく、我々としましても仕込みのときから頑張っていかなければいけないということでありまして、今年度の新規アクションプランであります公共交通ネットワーク活性化プランにおきまして、鉄道とバスとの乗り継ぎの改善をより効果的・効率的に進める中でも、この問題について取り組んでいきたいというふうに思っております。

ただ、今はまだ建設途上でありますから、そちらのほうに今一生懸命支援をしているところでありますけれども、具体的な運営になりますと、私どもといたしましては、例えば京都府と長岡京市や交通事業者等関係者の協議組織をつくって、総合的にこれを運営できるようなシステムというものを念頭において積極的に取り組みを進めていってはいかがかというふうに考えているところであります。

◯中小路健吾君

御答弁いただきました。ありがとうございました。

今、知事からお答えをいただきましたように、やっぱりつくったハードをどう使っていくのかという時代に。まだまだ足りない部分も京都府下ではたくさんあるとは思うのですが、整備が進んでいるところは、あわせて考えていく必要があると思います。その上で、まちづくり全体との兼ね合い、例えば今申し上げた京阪と阪急沿線の間なんかでいうと、一例を挙げれば、今、国のほうでも三川合流部分の河川公園の整備も進めていただいている、あるいは既存の施設で洛西浄化センターのスポーツ施設もありますし、今、京都市さんのほうでもスポーツ施設の検討をあの地域でやってらっしゃるということも含めて、やはりこういう公共交通網とそのそれぞれの施設へのアクセスのあり方というのはセットのものでありますし、人材育成にもお取り組みをいただいているということですがある意 味、まさに格好の材料がこの地域にあるわけですから、そういう観点で、具体的にそういう現場に入っていただけるような役割を一定果たしていただきたいと思いますのと、やはり今申し上げましたように、京都府南部の大きな共有の課題でもあるということから考えれば山城広域振興局としても、まさにこういう問題にしっかりと地元の市町村との連携も含めて携わっていただく、そういうようなやり方もぜひ御検討いただきたいというふうに思いますので、この点は要望とさせていただきたいというふうに思います。