議会活動

北山文化環境ゾーンの今後のあり方について

平成 21 年 11 月定例会:代表質問 (2)

◯中小路健吾君

次に、北山文化環境ゾーンの今後のあり方についてお伺いします。

ご案内のように、北山地域は、植物園や総合資料館、府立大学などの府立施設や京都市のコンサートホールなどが集積すると同時に、賀茂川など豊かな自然環境もあり、多くの府民に憩いの場を提供している地域です。

現在、本府においては、こうした立地条件や既存施設を活用し、北山地域を文化・環境・学術の交流・発信拠点として整備をしていくためのまちづくり構想が検討されており、本年4月には「北山文化環境ゾーン整備推進委員会」が設置されました。

先般10月には、推進委員会の検討報告がなされ、老朽化していた総合資料館の建替えや府立大附属図書館との連携、「国際京都学センター」の設置などの方向性が示されたとお聞きしております。

そこで、まず、推進委員会での検討結果、整備の方向性、今後の検討予定がどのようになっているのかお伺いいたします。

さて、このように北山文化環境ゾーンにおけるハード面での整備等については、鋭意ご検討いただき、その方向性も見えつつあるかと存じますが、今回は、北山文化環境ゾーンにおけるソフト面での対策について数点お伺いしたいと思います。

北山地域の中核施設の一つは言うまでもなく府立植物園です。

府立植物園は、大正 13 年以来の大変長い歴史を有し、多くの府民に親しまれてきました。また、同時に、1万2千種・12万本の植物を保有し、その技術力についても国内外から高い評価を得ています。

利用者数についても、一時は年間 60 万人台で推移をしておりましたが、平成 18 年に 70 万人を越えて以降、平成 19 年には 75 万 3 千人、平成 20 年には 76 万 8 千人と回復基調にあります。これらは、「花の回廊」などの展示会や桜のライトアップといった創意工夫と努力が成果を上げつつあるからではないかと思われます。そして、同時に、こうした植物園の魅力を向上させる取り組みを支えているのは、これまで培ってきた植物園の高い技術力ではないかとも思われます。

そうした観点に立った時、こうした植物園が有する技術力を今後どのように継承していくのかという点が大きな課題になるのではないでしょうか。

現在、府立植物園の職員数は35名です。事務職が7名。農業・林業等の技術職が10名。園芸等の協約職が18名という内訳になっており、すべての職員の方の平均年齢は52. 6歳となっています。これは、オール府庁の平均年齢が43.2歳という数字と比較をしても極めて高いと言えるのではないでしょうか。また、職種別で見ても、技術職の方の平均年齢が49.6歳、協約職の方の平均年齢が54.2歳となっており、最も若い職員の方も35歳という構成になっています。

こうした職員の年齢構成を考えたとき、これまで蓄積されてきた技術や知識の継承ということが果たして可能なのかどうか懸念を覚えてしまいます。

こうした傾向は、もう一方の北山文化環境ゾーンの中核施設である総合資料館において も見られます。

総合資料館については、本年、社会環境の変化や多様化する府民ニーズに応えるため、京都に関する資料の収集・保全、公文書館機能の充実、研究・学習・教育支援などネットワークの強化などを柱とした「総合資料館基本構想」が策定されたところであり、北山環境文化ゾーンの構想においても、その中心的な施設となることが期待されています。

現在、総合資料館の職員数は、事務職21名、司書職等13名、保安の協約職4名の計 38名で、平均年齢は51.4歳となっており、ここでも平均年齢の高さはオール府庁と比較をしても高くなっています。

このような現状を考えると、今後の北山文化環境ゾーンの中核施設でもある両施設における職員の人材育成というのが急務ではないでしょうか。とりわけ、これら両施設のこれまでの研究成果や経験・知識の集積、技術力の継承という観点から、技術職や司書職など専門性の高い職種の若い人材を育成することは極めて重要だと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

併せて、こうした人材育成などの観点も踏まえた、府立大学との連携についてもお伺いします。

先般 10 月に京都府議会北米調査団の一員として、アメリカのピッツバーグとサンフランシスコ、カナダのバンクーバーの3都市で調査を行いました。合計7箇所での調査を行いましたが、それぞれの都市において共通して感じたことは、まちづくりや行政運営、地域の公的課題の解決などにおいて、地元の大学の存在感が極めて高いという点です。

調査に訪れたピッツバーグ大学の医療センターは医療機関の中核であると同時に 4 万 5 千人を越える方が働く地域最大の雇用先でもあります。また都市再開発公社では、ピッツバーグが鉄鋼の街から最先端産業が集積する街へと変貌できた背景を語るとき、地元のピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学などに集積された「知」と「人材」をなくしては語れないということもお伺いしました。また、ブリティッシュコロンビア州立大学の研究機関であるマルコム・ナップ・リサーチフォレストでは、そこでの研究の蓄積が、国や州の森林保全や林業などの産業政策に大きな影響を与えています。サンフランシスコで訪れたスタンフォード大学は、まさに大学で集積された「知」の活用によって地域の産業を支えていますし、その一つの象徴的な例がシリコンバレーであるということはあまりにも有名な話です。

このように、地域に活力を与える原動力として大学が果たす役割は極めて大きいものであり、地域に大学があるということは、そこに集積された知識や育成される人材の活用の仕方次第で大変大きなアドバンテージにもなり得ます。

こうした観点から、北山文化環境ゾーンの今後を考えた場合、府立大学の果たすべき役割も大きいものがあり、先ほど述べた府立植物園や総合資料館などの人材育成という課題を重ね合わせると、府立大学と両施設の連携は不可欠なものと言えます。

そこで、今後、北山文化環境ゾーンにおいて施設面での連携を進めると同時に、府立大学と植物園や総合資料館との人事交流を活発化させていくべきかと存じますがいかがでしょうか。知事のご所見をお伺いします。

◯知事(山田啓二君)

北山文化環境ゾーンについてでありますが、この地域は京都を代表する豊かな文化・学術・環境に恵まれた地域であるものの、ここに立地をしております府立大学、植物園、総合資料館、コンサートホールといった施設が一体的に機能しているかというと、必ずしもそうは言えず、一つの一体感を高めることによって、こうした各施設のポテンシャルを活かすことが課題になっているのではないかと思っています。

これを踏まえて「北山文化環境ゾーン整備推進委員会」からは、1新総合資料館は、府立大学との合同施設、また、国際京都学センターを設置、2府立医科大学、京都工芸繊維大学、府立大学の連携拠点にふさわしい施設整備、3そして、日本一おもしろく、心やすらぐ植物園の整備、4開放感あふれ歩いて回りたくなる街づくり、などのご意見をいただいたところであります。

現在、「整備委員会」を設置し、1新総合資料館については、基本計画の策定中でありまして、この中で、機能やそれに応じた建物の詳細を策定していく、2また、三大学の連携拠点については、教養教育合同棟の具体化をしていく、3植物園につきましては、こうした施設の配置と動線などの検討を進めているところであります。

植物園、総合資料館における人材育成についてでありますけれども、団塊の世代にあります専門技術・学術職員の大量退職が見込まれております中、植物園の世界的レベルの栽培技術や総合資料館の古文書等の保存・伝承技術を将来にわたって継承していくためには、若手職員のしっかりした育成とともに、豊かな理論・知識・技術を持った優れた人材を必要に応じ確保することが不可欠であります。

このため、本年は、植物園と総合資料館に、高度な経験・技術を有します即戦力の人材を各1名採用・配置いたしましたけれども、今後とも、職員の年齢構成等を踏まえ、専門的な資格等を有する職員の採用を計画的に進め、必要な技術レベルの安定的な確保に、新規採用とともに努めていきたいと考えております。

そうしたことを考える上で非常に重要なのは人材交流ではないかと思っておりまして、本年3月に、府立大学、総合資料館、植物園の三機関が協定を結び、人的、知的資源の相互交流を行うことにしておりましたけれども、特に、府立大学と総合資料館におきましては、今回の新施設の一体的な整備を契機に、必要な人的な連携と交流を更に進めてまいりたいと思いますし、府立大学と植物園におきましても、教育面や学術・研究面での人的交流を図るという形で一層連携を深めていき、将来的には植物園で学びながら、それが府立大学で学ぶことと共通の基盤を持てるとか、資料館での研究自身が、府立大学の研究に通じていく、そうした両方のほうから向上的になるような連携を深めていきたいと考えてい るところであります。