議会活動

(社) 京都府森と緑の公社について

平成 21 年 6 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。

さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

初めに、「社団法人京都府森と緑の公社」についてお伺いします。

京都府森と緑の公社については、これまでから、我が会派においても経営状況とその先行きに対して懸念を表明してまいりました。昨年6月定例会の代表質問においては、2007 年度末現在での累積債務が 211 億円、事業終了を予定している 2064 年度末には累積債務 636 億円、収入見込みが 132 億円、差し引き債務が 504 億円にも上るという見通しが示され、知事からも、「極めて深刻な状況であり、損失補償をしている府の財政に対する影響も大きい」という危機感が表明されました。

その上で、コストを勘案した分収契約のあり方や収益的事業から公的事業へのシフトなど、公社のあり方の根本的な見直しを検討すると同時に、旧農林漁業金融公庫、現在の日本政策金融公庫などの借入先や施策を推進してきた国の責任も明確にした上で協議をしていく旨の御答弁をいただきました。
こうした状況を受け、その後、強い知事のリーダーシップのもと、昨年8月には、滋賀県知事らと国に対し協議の場の設置を要望され、11 月には「林業公社の経営対策等に関する検討会」が設置されました。

そこで、まずその後の国との協議の状況についてお伺いします。森と緑の公社の経営上の問題の一つに高い金利負担があります。公社が行う分収造林事業は、植林から伐採し収入を得るまで 50 年から 80 年という大変長期にわたり、その間の費用を借り入れによって賄うという事業構造であり、借入金に対する利払いが大変大きな負担となります。2008 年度末での公社の債務残高は 216 億円、2007 年度比で約5億円の増加、うち4億円が新規利息発生分となっていることからも、その負担の大きさがわかります。

一部報道によれば、こうした状況に対して、都道府県側は政府系金融機関への 20 年間の返済猶予を求めているということも伝えられております。

そこで、改めて本府は国に対してどのような要望を行ってきたのかお伺いします。

また、昨日6月 30 日、国との検討会の報告書が公表されましたが、これまでの国との協議状況を踏まえ、どのように評価されているのか、本府の見解をお伺いしたいと思います。

次に、今後の公社の事業経営のあり方についてお伺いします。仮に、先ほど述べたような国との協議が調い、公社の抱える債務上の負担が軽減されたとしても、今後の公社経営の前には多くのハードルがあります。これから、いよいよ最初に植林をした木が伐期を迎え始めます。つまり、これらの木を木材として市場で売却し収益を上げていかなければならない時期となります。しかし、御案内のように、木材価格は長期的に低迷しています。公社のバランスシート上で計上されている資産はあくまで投下経費の総額であり、現在の市場価格に換算すれば、債務超過に陥る可能性も指摘をされています。さらに、公社が分収契約をしている地域は、当初から施業条件の劣る奥地などが多く、伐採から搬出までのコストも高くなることが十分に予想されます。

こうした非常に厳しい条件の中で、少しでも多くの債務を回収しようとするならば、林業そのものに精通していることはさることながら、事業を経営していく公社としての大変高い経営感覚が求められるのではないでしょうか。

市場の動向の見きわめや安定的な販路の確保、伐採に向けた作業道の取りつけなどの投資、作業効率の向上とコスト削減などといった課題は、ある意味、民間企業の事業経営のノウハウと共通のものだと言えます。その意味において、これまで培われてきた林業に精通した技術者としての公社の役割に加え、事業全体をマネジメントしていく経営者としての人材が今後の公社を運営していく上で欠かせないと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いします。

一方で、こうした経営努力を行っていったとしても、その見通しは依然厳しく、木材生産による収益事業を前提とした経済林から、森林の持つ公益的機能に重点を置いた環境林へのシフトということも、当然、考えておかなければなりません。このことは、前回の質問で知事からもそうした方向性を念頭に、公社の抜本的なあり方を検討するとの御答弁をいただいているところでもあります。

そこで、最後に、今後の公社のあり方、とりわけ収益事業から公的事業へのシフトという観点から、その後の検討状況をお伺いします。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

京都府森と緑の公社についてでありますけれども、公社の累積債務の問題は、全国でも大変深刻な問題でありまして、その中でも、滋賀県の特定調停の事例で、それがある面では顕在化したというふうに考えております。こうした時点をとらえまして、私どもも関係府県で構成いたします森林県連合を、私自身代表いたしまして国に要請し、昨年 11 月に国と府県による「林業公社の経営対策等に関する検討会」が設置されました。

この問題は、今までの事業をどう総括して対策を講じていくかという面と、それから、これからの公社事業の林業をどういうふうに運営していくかという面と2つあるというふうに考えております。

このため、検討会におきましては、日本政策金融公庫資金による借りかえや繰り上げ償還などの利子負担の軽減対策のほか、森林整備に対する支援の充実を国に要望してきたところであります。これまで9回にわたる検討を重ねまして、昨日、最終報告書が公表されました。この中身につきましては、利子負担軽減に向けた公庫資金の拡充ですとか、事業負担の軽減につながる国庫補助制度の充実、全国統一の森林資産評価基準の作成が明記されるなど、府県の要望を一定受けとめた内容となっているというふうに思っております。

内容的には、検討という形になっておりますけれども、報告書にそうした文言が入ったということは、政府としてはそういう方向で検討に入っていくことだというふうに考えておりまして、特に、これまでの事業を継続するに当たっての最大の問題点が利子負担でありましたので、この報告に基づき、利子負担軽減がなされれば将来負担は大幅に見直すことも可能になるだけに、大変期待は大きいというふうに考えています。

ただ、それに比べまして、森林整備支援というのはまだ中身が見えてくる状況にございませんので、そうした点につきましては、今後とも、公社への経営支援策が確実に実行されるよう他府県と連携して、国に対し強く要望してまいりたいと思っております。

同時に、公社運営についてでありますけれども、統一した資産評価基準が作成されることによって公社同士の効率的な運営について一定の目安ができてまいりますので、私どももそうした目安を十分に活用して、公社経営というものに対してしっかりとした経営ビジネスの観点からの視点をこれからも強化していかなければならないと思っております。

もともと、都道府県におきましてはこうした企業関係の経営ビジネスの視点が大変弱いところがありますので、人材育成も含めてこうしたものについてはしっかりと考えていく必要があると思っております。ただ、もともと、この公社の事業につきましては、国策によって、民間では経営が成り立ちにくい山間奥地の事業展開を求められてきたという経緯がありますだけに、効果的な経営や効率性だけでこれが成り立つことはなかなか難しいというふうに同時に考えております。

それだけに、これから公社の運営に当たりましては、収益の確保できる地域と、地球温暖化防止等公益的機能を発揮させる地域とをある程度見きわめまして、今は 60 年で一斉に伐採する画一的な作業を、これによって見直すという検討作業を進めているところであります。

そうした観点から、府民の貴重な財産である公社の分収林を次の世代へある程度十分に区分けした形で見きわめていく、そしてその中で引き継いでいく形を考えていきたいというふうに思っております。

◯中小路健吾君

御答弁ありがとうございました。私も報告書のほうを見させていただきました。この間、精力的に御検討いただいたという部分に関しましては敬意を表したいと思いますし、高く評価する次第であります。

ただ、公社は全国に 40 ほどあると思うんですけども、それぞれの公社の置かれている現状というのが、借入先も民間に頼っているもの、あるいは都道府県が貸し付けをしているもの、それから、今後の方向についても、廃止の方向で考えていらっしゃるところもあるし、継続あるいは都道府県が引き継いでいくというところ、さまざまな状況があるので、どうしても報告書という形になると、ああいう、若干、玉虫色的なものにならざるを得ないのかなという部分は理解をいたします。ただ、これから京都府としてどうしていくのかという部分を含めた上で、やはり、もう少しこれから具体的な国との協議に入っていかれるということだというふうに受けとめておりますので、そこでは、知事からもございましたように、国策として進めてきたという部分もありますし、当然、政府系金融機関として政策金融を行ってきた貸し手としての責任も当然あると思います。そういう中で、これからも国とは粘り強い議論をしていただきたいと思いますし、あわせて、当然その上で、これから京都府の公社としてどういう経営を行っていくのかということが大前提だとも思いますので、その点もあわせて、今後さらに議論を進めていただきたいということは要望させていただきたいというふうに思います。