議会活動

府有資産を活用した広告事業の今後の展開について

平成 20 年 12 月定例会:一般質問 (2)

◯中小路健吾君

次に、新しい行政経営改革プランの策定に当たり、歳入確保策という観点から大きく2つの点についてお伺いをいたします。

現在の本府を取り巻く財政状況が極めて厳しいことは御案内のとおりです。本年度当初予算時には約 190 億円の収支不足、さらに今後平成 25 年度までにおよそ 210 億円程度の収支悪化が見込まれており、こうした収支不足の解消が今後さらに大きな課題となってきます。

そこで、まず、新たな財源の確保を図っていくための、府有資産を活用した広告事業の今後の展開についてお伺いしたいと思います。

私は、これまでから、本会議や総括質疑、委員会審議等において、府有資産の活用と広告事業の積極的な導入を求めてまいりました。現在、本府では、昨年 12 月に「京都府広告取扱要綱」及び「広告取扱基準」を策定し、本年1月に広告事業の第1号として自動車税の納税通知書の送付用封筒に広告が掲載され、およそ 80 万円の収入を得ました。また、去る 11 月からは、府民だよりへの広告掲載、本府ホームページにおけるバナー広告の掲載が始まり、その取り組みが徐々にではありますがスタートをしています。

そこで、まず、こうした新たな財源としての広告事業について、今後どのように展開を図っていくのか、基本的なお考えをお尋ねいたします。

平成 16 年度からスタートした「経営改革プラン」に基づく取り組みにおいても、「積極的な増収策」を図るとした上で、産業政策の推進による税源涵養や課税自主権の活用を行っていくとされてきました。もちろん、この視点が重要であることは言うまでもありませんが、府有資産の活用によるさらなる収入確保という観点も、決して軽んじることはできないものだと思います。

そこで、現在検討がなされている「新しい行政経営改革プラン」の中においては、府有資産の活用、とりわけ広告事業の展開による収入確保対策をどのように位置づけられようとしているのか、御所見をお伺いします。

さて、こうした広告事業の展開は、他のさまざまな自治体においても数多く活用されるようになりましたが、その先進的な取り組みで注目されるのは横浜市です。横浜市と言えば、日産スタジアムに象徴されるネーミングライツが非常に有名ですが、その他の広告事業でも非常に活発な取り組みをされています。

本年4月、総務常任委員会の管外調査において、広告事業の調査のため横浜市を訪れました。横浜市での取り組みの概要をお聞きし、まず新鮮に感じたのは、媒体として利用されているものの多様さです。封筒への広告やウエブ広告はもちろんのこと、庁舎内のエレベーターや玄関のフロアマット、さらには図書館の貸出票の裏面、職員の給与明細、学校給食の献立表など、さまざまなスペースが媒体として活用されています。また、教育委員会が主催するふれあいコンサートを映画会社とタイアップし、約 230 万円の収入を得たり、防災訓練での食料や飲料水のタイアップによって、約 327 万円の経費縮減につながったという事例もお伺いしました。

これらの事例から感じることは、第一に、職員の皆さんの、みずからの自治体が有する資産の価値を客観的に評価しようとされる姿勢と、その活用を積極的に行おうとする姿勢です。「自治体が有する媒体は、市場において安心感・信頼感という価値を有しており、これが他の民間の媒体と差別化できる強みです」とおっしゃったある職員さんの言葉が、その姿勢を端的にあらわしているのではないでしょうか。

次に、民間企業とのコラボレーションの結果、施策のアウトプットに対しても非常にプラスの効果を与えているという点です。例えば、現在、横浜市では、小児救急に関するハンドブックの作成も、某教育関係の企業が広告主となって行われています。結果として、これまで約 1,000 万円かかっていた作成費用はゼロとなり、さらには、成果物としてのデザインや内容について、現物も見せていただきましたが、企業が有するキャラクターをうまく活用し、「子どもが手にとりたくなるようなもの」となっており、結果的には実質的な 配付部数もかなりふえたとのことです。先ほど触れた映画会社とのコンサートのタイアップでも、これまで以上の動員成果があらわれているのも、同様の効果です。 こうした取り組みの成果として、横浜市では、平成 16 年度の取り組み開始以来、広告料 収入・経費縮減効果ともに着実に増加してきており、平成 19 年度には、広告料収入が約1 億 4,000 万円、経費縮減効果が約 5,000 万円、これにネーミングライツを加えれば、年間 約6億 6,000 万円の効果があらわれています。確かに、横浜市の一般会計予算の規模は約 1兆 3,000 億円程度ですので、全体から見れば微々たる額かもしれませんが、参考となる点は多々あります。

そこで、今後、本府においてさらなる広告事業の積極的な展開を行っていくために、横浜市の事例から必要な条件を抽出し、本府の状況と重ね合わせつつ、以下、数点質問をいたします。

広告事業が活発に展開されるために必要な条件の一つは、広告媒体そのものが多数存在することです。つまり、広告媒体となり得る可能性のあるものを直接的に所管しているそれぞれの部局がどの程度本気になって考えるかどうかが事業推進の大きなかぎとなります。

この点、横浜市では、広告事業推進のための部署が存在し、広告事業実施のための統一ルールづくりを行うことは当然のことながら、広告代理店や広告主に対しての営業活動や情報発信、対外的な説明や苦情処理などを一括して行うことで、所管部署の事務負担軽減が図られています。また、広告料収入をすべて広報媒体を持つ所管部署の特定財源として位置づけ、事業推進のインセンティブとしています。

そこで、まず、本府のこれまでの取り組みの中で、現在既に実施されている広告事業のほか、どのようなものが検討されているのか、その状況と課題についてお伺いします。

次に必要となるのは、広告主となり得る民間企業や広告代理店に対してどれだけ事業のアピールができるかという点です。

先ほども述べたように、これも横浜市では、同じ広告事業担当部署が対外窓口を一元化し、問い合わせやニーズの把握、ウエブサイトでのマッチングシステムの運営、メールマガジンによる情報発信を行い、市のニーズと企業のニーズをうまく合致させています。当然、その結果、担当部署には広告事業運営に関するノウハウもまた蓄積されていきます。

こうした結果、現在では、広告事業として成立するもののおよそ半分が民間からの提案によって、およそ半分が行政内部からの提案によってスタートをしているとのことです。

このように、広告事業がより活発に展開されるためには、こうした広告事業に関する活発な「市場」が成立することが必要であり、そのためのポイントは、事業をコンスタントに行っていくことと、そのノウハウの蓄積、行政内部での一元的な推進体制の構築にあるのではないかと考えます。

そこで、今後こうした広告事業の推進を図っていくための推進体制の構築について、どのようにお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。

◯総務部長(太田昇君)

府有資産を活用した広告事業の今後の展開についてでありますが、府有資産を活用した民間の広告導入につきましては、極めて厳しい財政状況の中で大変貴重な財源を確保する手段でありますとともに、職員がアイデアを出して府民の資産を有効に活用し収入を生み出すことで、職員の意識改革にも有意義なものと考えております。

一方、公共団体として、公共性・公平性に十分留意する必要があるということは言うまでもございません。

現在作成中の「新しい行政経営改革プラン」におきましても、収入確保の手段として、「府有財産の活用」「戦略的な財源の確保」を図ることとしており、その中で、具体的な取り組みとして、未利用資産やスペースの利活用の促進とともに、広告の積極的な導入も位置づけるべく検討を進めております。現在のところ、議員御指摘のとおり、自動車税納税通知書の封筒裏面への広告掲載、府ホームページへのバナー広告、府民だよりへの広告掲載を実施しており、今後、冊子・パンフレットや領収書等の印刷物、封筒等の共同購入物品、トップページ以外の府ホームページや府有施設への広告掲載等、広告事業を順次拡大したいと考えております。

こうした取り組みを積極的に進めていくためには、取り組みやすい環境を整えること、また、広告媒体を所管している課がいかに積極的な姿勢になるかが重要なポイントであります。そのためには、一つは、各広告媒体を所管している課の取り組みにインセンティブを与えるための仕組みが必要であり、生み出した収入の一定割合をその課の予算に活用できる仕組みを導入したいと考えております。

また、各課の事務負担を軽減し、支援すること、つまり、広告掲載の統一した基準等の設定に加えて、他府県等の情報収集・提供、事務マニュアルの作成や助言などの仕組みづくりに取り組んでおります。

今後、全庁的な連絡組織を立ち上げますとともに、体制を含め他の自治体の先進事例を研究しつつ、京都府のイメージとか環境条件等を踏まえて、公共団体としての広告事業を推進してまいりたいと考えております。

◯中小路健吾君

まず一点目、広告事業につきましては、非常に積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。やはり、一元的に推進体制を整備していただきたいというのは、今お聞きしているといろいろなアイデアがたくさん出てきているみたいですけれども、実際にそれを広告主を探してきてというさまざまな手続的なこと、事務的なことをやっていくというのは、それぞれの所管部局にしてみたら非常に手間になっている部分があると思うんです。その意味で言うと、やはり一元的に、そういうノウハウを持った部署というのが対外的な窓口として一元化されるというのは、この事業を推進していく上で非常に重要な観点だと思いますので、ぜひともこの部分というのは、先ほどの財源のインセンティブづけに加えて、一元的な推進体制をお願いしたいと思います。