議会活動

弾力的な予算執行のあり方について

平成 20 年 12 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

まず、弾力的な予算執行のあり方についてお伺いします。

先般、明らかとなりました国の補助事業をめぐる不適正経理処理の問題については、貴重な公金を扱う地方自治体の姿勢が改めて厳しく問われたものであり、現在、公共事業等事務費適正化委員会を中心に、徹底した調査と再発防止策の検討がなされているところかと存じます。その意味で、まずは、府民に疑念を抱かせることがないよう、今後の取り組みと対策の推進を改めて要望しておきたいと思います。

その上で、今回の一連の指摘は、問題が生じた背景を考えた場合、国の補助金のあり方をめぐる構造的な問題や、効率的・効果的な予算・事務の執行のあり方と説明責任の果たし方など、自治体や国などの行政運営のあり方をめぐる、より大きくかつ本質的な問題を提起したのではないかと私は考えています。

そこで、今回は、効率的・効果的な予算執行という観点、とりわけ会計年度をまたぐ予算執行の弾力的な運用という点に焦点を絞り質問をしたいと思います。

今回、会計検査院に指摘されたもののうち需用費に関しては、そのほとんどが、消耗品の購入に当たって、物品が翌年度に納入されていたのに現年度に納入されていたこととして代金を支払うなどの不適正処理があったというものでした。

この点に関して、決算特別委員会の総括質疑の中でも、知事は、問題の背景に、職員の中の使い切り意識や、不意の出費に備えて事業執行が年度末に集中する傾向、予算に残額が生じた場合の減額補正に対する心理的なプレッシャーなどがあると御答弁されています。

また、適正化委員会の議論の中においては、同様の指摘に加えて、できるだけ国庫補助金を取り込もうという意識や国庫補助金の決定時期の遅さなどから、事業執行が年度末に集中する傾向が指摘されています。

私は、こうした年度末に事業が集中する傾向や、予算に対して使い切ろうというインセンティブが働くのは、何も本府の国庫補助事業に関してのみの問題ではなく、行政組織全体が有する本質的な問題であり、その要因が、行政組織の予算編成システムと公会計の単年度主義にあるという指摘は、古今東西、古くから指摘されてきたことであると認識しています。だとすれば、こうした単年度主義から生じる弊害を取り除いていくためには、会計年度をまたいだ柔軟で弾力的な予算の執行が可能になるような仕組みが必要になります。

そこで、繰越明許費をより一層柔軟に活用することが有効な一手段になり得るのではないでしょうか。

地方自治法第 213 条には「歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる」と規定されており、ここで繰り越された経費が繰越明許費です。繰越明許費を活用することにより、工夫して税金を無駄なく効率的に活用した結果、年度末において予算に余裕が生じた場合、それを明らかにした上で翌年度に使えるようにしておけば、年度内に使い切ろうとするインセンティブは働きにくくなります。

また、役所の仕事というのは、予算が議会で成立して初めて執行できるものでありますから、年度当初の4月から5月は、えてして準備に忙殺され、多くの事業が年度後半に集中する嫌いがあります。その点、当初から年度をまたいだ事業執行が可能ということになれば、年間を通じた事業執行の平準化にも有効かと思います。とりわけ、現在のように環境変化が激しい社会経済情勢において、京都府が対応すべき問題は決して役所の年度を考えて生じてくれるわけではありません。その意味では、年度に縛られることのない予算執行を可能とすることで、機動的かつ効果的にさまざまな課題に対応できるという点でも有効な手段かと思います。

本府におきましても、繰越明許制度により翌年度に繰り越して経費を執行していますが、そのほとんどが建設事業などハード事業に係るものです。天候など気象条件の変化や予期せぬ状況が発生する、あるいは地域の合意形成に予想以上に時間がかかるなど、工期が延びることが十分あり得るという建設事業の性格上、こうした繰越明許費が建設事業等に集中することは理解できますし、他の自治体の例を見ても同様の傾向にあるものと存じます。

本府においても、平成 16 年度当初予算の編成方針の中で、施策目標達成予算システムを取り入れ、弾力的な予算執行の一手法として提案をされてはいますが、年度を越えた執行を認めるものとはなっていません。

そこで、こうした繰越明許費の対象をもう少し弾力化し、事務的経費やソフト事業にまで拡大してはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

今回、会計検査院から指摘のあった事項につきましては、今、原因の究明と再発防止策の検討をいただいているところでありますけれども、その中で、やはり需用費の執行については幾つかの課題が指摘されております。出先機関への需用費の配当自身が遅いということもありますし、予算の執行自身、計画的にしようと思えば思うほど準備の問題もありぎりぎりになってまいります。さらに、厳しい予算の状況の中で、予算的な余裕を少しでも確保するために執行留保もかけておりますから、こうしたことが年度末に事務の集中している現状を生んでいると私も思います。

さらに、そのときに減額予算を組むことにつきましては、そもそも「もったいない」という意識がありますし、来年の予算を削られるというおそれもありますし、補助事業の場合には、これは国は返還を嫌がるというのは私も経験したことでありますけれども、私は返還されるほうだったんですけれども、後のことが非常に難しい事態を招くことになります。こうした中から、いわゆる使い切り傾向というものが見られ、その中でゆがんだ運用 がなされた場合があるというふうに私も思っておりますので、何とかこうしたものについて、もう少しシステム的にきちっと明確にできないだろうかというふうに思っております。

この場合に、御指摘のありましたような繰越明許費を使うというのは、今の会計制度の中では最も可能性のあるものではないかなというふうに私も考えております。年度をまたがるスムーズな執行を図る上で、事前に議会にもお諮りして繰越明許費を掲げて、そして終わった後には、その内容について計算書できちっと5月 31 日までに報告をさせていただくというのは、議会のルールとしては私はかなり合致しているのではないかなと思います。

ただ、繰越明許費につきましては、今までの法律の解釈上が「その性質上」とか、または「予算成立後の事由」というふうに限られている中で、需用費というのは性質上なかなか難しいだろうという解釈がなされておりました。しかし、今こうした事態が起きているわけですから、そうした事態を避けるためにも、需用費の性質上一定の明許費を設けるべきだという解釈をしていく時代に入りつつあるのではないかなというふうに私は考えております。

その場合におきまして、一番必要なのは、これはまさに予算の一部をなすものでありますから、私どもだけでできるという話ではないと思いまして、議会との間できちんとした説明とルールの設定を行いまして、その範囲で今後検討をさせていただかなければならないのではないかなというふうに思っております。

それだけに、今後、府議会に適正化委員会の検討内容を報告させていただく中で、議会の御意見も十分にお聞きし、その上で、しっかりとしたルール、議会の御理解を得ながら、柔軟な運用について考えてまいりたいと思います。

◯中小路健吾君

御答弁ありがとうございました。やはり、今、さまざまなこれまでの役所仕事というのは、どちらかというと、いろいろなルールにがんじがらめにされながら、事態に対して機動的に対応するというのは非常に難しい側面もあったかと思います。その中で、やはり自由に機動的に予算が執行できる体制をつくるということは、非常に重要な問題だと思っています。

ただ、その裏返しというのは、先ほど知事からもありましたけれども、しっかりとした説明責任が果たされるということと、あわせて、当然最低限のルールとして、しっかりと予算が適正に執行されているんだという、やはり大前提が必要になろうかと思います。

その意味で、京都府全体で、もう一度公金の適正な執行という観点を考えれば、当然、我々議会に対して明らかにされたものを、しっかり我々も受けとめながら審議をしていく、そういうシステムが京都府全体のガバナンスという観点から考えれば必要になってこようかと思いますので、これから適正化委員会のさまざまな報告も受けながら、我々も真摯にそのことをともに考えてまいりたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。