議会活動

(社) 京都府森と緑の公社について

平成 20 年 6 月定例会:代表質問 (5)

◯中小路健吾君

最後に、本府の外郭団体でもある「社団法人京都府森と緑の公社」についてお伺いします。

京都府森と緑の公社は、昭和 42 年、京都府、府内市町村、京都府森林組合連合会の出資によって、分収林特別措置法に基づく分収造林事業や森林の経営・施業の受託に関する事業などを行うことを目的として設立されました。

こうした分収造林事業を行う公社は、高度経済成長にともなう木材需要の急激な増加に対応するため、国が主導する中で全国各地に設立され、植栽がすすめてこられましたが、現在、その多くの公社が経営にいきづまっています。

いきづまりの背景には、分収造林事業そのものが、土地所有者と公社が契約を結び、公社が木を育て、伐採時に収益を分け合うというものであり、事業スタート時から実際に収益を上げるまで 50 年から 80 年と非常に長期にわたるうえ、その間の費用を借入れで賄うという事業構造上の問題や外国産材の輸入自由化にともなう木材価格の下落、労務費の高騰や高い維持管理コストなど事業見通しと運営そのものの甘さなどがあります。

森林整備法人全国協議会の調べによりますと、2006 年度現在で、全国の 37 都府県が出資する林業公社 40 社の累積債務は約 1 兆 2659 億円にものぼるとのことです。

また、岩手県や大分県では公社を解散し県が債務と事業を引き受けたり、岡山県では無利子貸付によって債務を繰上げ償還させるなど、累積債務の解消に向けた動きもでてきておりますし、滋賀県では県造林公社とびわ湖造林公社の2公社が合わせておよそ 1000 億円の債務に対して農林漁業金融公庫や関連自治体に債権放棄するよう特定調停の申し立てを行っていましたが、去る 6 月 23 日に両公社、県、公庫の間で元金 444 億円と利息 235 億円、遅延損害金 11 億円など、合わせて約 690 億円を 42 年の長期分割返済するという合意がなされたとの新聞報道があったところです。

こうした状況の中、本府の森と緑の公社においても、その将来的な見通しは楽観できるものではありません。

平成 19 年度現在、契約済みの造林面積は 4,715ha となっており、平成 16 年度以降新規契約は中止されてはいます。しかしすでに、借入残高は農林漁業金融公庫、その他金融機関、京都府あわせておよそ 211 億円にのぼり、実際の造林事業自体に係るコスト以上に利子負担が経営を圧迫し、今後、政府系金融機関の状況や市場における長期金利の動向など、さらなる懸念材料も有しています。

また、06 年度決算では、バランスシート上、正味財産は 1300 万円程度の黒字となってはいるものの、資産として計上されている植林の価値は取得時のものであり、現在の市場価値におきかえた場合、債務超過に陥っている可能性も十分に考えられます。

「平成 21 年度政府予算に関する提案・要望」の中においては、公社の今後について、毎年度の金利負担・維持管理費にかかる 5~10 億円の費用をすべて借入れによって対応した場合、借入残高は平成 76 年には 636 億円まで増加する一方、木材の販売から得られる収入見込みは約 132 億円であり、およそ 504 億円の債務だけが残るという見通しも出されておりますが、これも、今後の金利動向や木材の価格動向次第では甘い見通しになることも懸念されます。

そこで、まず、こうした公社の経営状況について再度、ご認識をお聞きすると同時に、公社の経営改善に向けた取り組み状況はどのようになっているのかお伺いします。

さて、こうした森と緑の公社のような造林公社が行う分収造林事業について、戦後の森林・林業政策の中では、森林整備の推進と森林資源の活用、さらには地域における産業振興・雇用創出など一定の役割を果たしてきたという評価がある一方、地域での林業経営における公社への依存体質を生み出し、自助努力・経営努力を阻害してきたのではないかという指摘もあります。

そこで、公社がこれまで果たしてきた役割についてプラス・マイナス両面にわたりどのように総括をされるのか。知事のご所見をお伺いします。

最後に、今後の公社のあり方についてお伺いします。

今後の分収造林事業のあり方については、既存の契約について、生育状況や林道との位置関係など施業環境を考慮したうえで収益が見込まれる「経済林」については、契約方法等の変更も念頭に、木材生産の場として残していく一方、収益が見込まれない「環境林」のうち里山に近い「環境林」については、より幅広い府民参画によって森林保全を図っていこうとする考え方があります。こうした考え方は、これまでから知事も積極的にすすめてこられました、モデルフォレスト運動との関わりを抜きにしては考えられないのではないでしょうか。

本府においては、こうしたモデルフォレスト運動の推進母体として社団法人京都モデルフォレスト協会が平成 18 年 11 月、森林から恵を受けるすべての府民の参画と協働により、府民共有の財産である森林を守り、育てるための取り組みを行うことを目的として設立されました。

そこで、今後のあり方も含め、森と緑の公社とモデルフォレスト協会、それぞれの役割、機能分担等その関係についてどのようにお考えか。知事のご所見をお伺いします。

◯知事(山田啓二君)

次に、社団法人京都府森と緑の公社についてでありますが、公社はこれまで国の通達に基づき、造林が困難な山間奥地を中心に、土地所有者に代わって造林を行う分収造林事業を展開してまいりました。

公社は、こうした事業によりまして水資源の確保や土砂流出防止などの森林の公益的機能を育成し、環境保全に大きな力を発揮しますとともに、毎年事業を安定的に実施することにより、雇用の確保や、地域林業の担い手の育成などにも貢献してまいりました。その反面、量も多かったものですので地域に公的な造林事業に依存しがちな状況を御指摘のように生じさせてきたのも私は事実ではないかな、と思っております。

こうして、府内の森林整備の中心的な役割を担って参りました公社事業でありますが、木材価格の大幅な下落、伐採収入が得られるまで自主財源がない中で、借入金により事業を実施せざるを得ないという構造的な問題、これを有しておりまして、全国の公社共通の問題になっておりますけれども、多額の累積債務を抱え、将来の見通しが立たない極めて深刻な状況にあります。

これは、損失補償を行っている府の財政に対しましても私は大きな影響を与えるというふうに考えております。

これまで、公社では新植の停止、職員の削減と育林費用の縮減、高利資金の繰上償還や低利資金の借換など、できる限りの経営改善に向けた取組を進めて参りました。

しかしながら、現在木材価格の低下の中でコストを勘案しない、コストを算定しない分収契約というのは、私はあまりにも無理があるというふうに考えておりますし、収益を前提とした契約から、環境保全を目的とした公的事業にシフトするなど、今や、公社のあり方を根本的に見直すべき時期に来ているというふうに考えております。現在その対策について、分収契約や保育のあり方などの検討を進めております。

しかし、今、日本でもっとも厳しいといわれております、滋賀県の公社債務に係る特定調停、これは、私どもは大変注目して見守って参りましたけども、先日の新聞報道を見ますと、滋賀県や県公社だけが債務の責任を負うかたちとなっておりまして、農林漁業金融公社の社会的使命とか、この事業を積極的に進めてきた国、こうしたものに対する対応としては、私どもからもう一度問い直していかねばならないんじゃないかなというふうに考えております。

公社と京都モデルフォレスト協会との関わりにつきましては、里山などの府民との関わりの深い森林におきましては、モデルフォレスト運動は大変有効に機能するという風に考えておりますが、防災や環境保全など森林の持つ公益的機能を更に有効に機能させるためには、不便な場所の森林や水源森林などについて、積極的に公的な整備を進めることも重要でありますので、そういった役割を意識しながら公社のあり方を検討していきたいという風に考えております。