議会活動

今後の広域行政のあり方について

平成 20 年 6 月定例会:代表質問 (2)

◯中小路健吾君

さて、こうした第2次分権改革の議論と平行してすすめられているのが道州制などに代表される広域行政のあり方をめぐる議論です。

そこで、今後の広域行政のあり方、とりわけ現在本府においても議論が進められつつある関西広域連合のあり方について知事のご所見をお伺いしたいと存じます。

まず、道州制についてであります。

国においては道州制に関して、政府の道州制ビジョン懇談会の中間報告が提出されました。また、経団連も「道州制の導入に向けた第2次提言~中間とりまとめ」を発表するなど、提言が相次いでいます。

私は、こうした国での道州制の議論に関して、若干の懸念と疑問を持っています。

例えば、道州制ビジョン懇談会の中間報告では、問題意識や理念については肯ける部分もありますが、実際に道州が果たすべき役割になると、「広域の公共事業」や「科学技術・学術文化の振興、対外文化交流、高等教育」など、「なぜ広域的な道州でなければいけないのか」「現行の都道府県制度をベースとした広域連携ではなぜいけないのか」など道州制導入に向けた積極的な理由が不明確なもの、「市町村間の財政格差の調整」など道州制のように広域化をすればむしろ問題が悪化することも想定されるようなものなどが含まれた内容となっています。

経団連の中間とりまとめにしても、道州制の導入によって「子育て支援、人材育成策が充実する」とか、「地域医療・介護の体制充実が図られる」とされているのは、極めて楽観的な議論ですし、いささか論理的に飛躍しているようにも感じます。

また、これまでから知事が批判されているように、区割り論や組織・制度論などが先行している感も否めませんし、「道州がどんな行政分野を担うのか」という議論はあるものの、道州制の導入によって、「国と地方の財政制度はどうなるのか」、「そのことによって税の使われ方はどのように変化するのか」、「受益と負担の関係はどうか」といった議論についてはほとんど踏み込まれてもいません。

そこで、まず、こうした国での道州制の議論について、知事のご所見をお伺いします。

ところで、現在、関西においては、2府7県4政令市と7経済団体等をメンバーとした関西広域機構が昨年7月に設立をされ、「関西広域連合(仮称)」の実現に向けた議論が進められています。

私は、ここでの議論は国レベルで行われている道州制の議論とは一定の距離を置いた上ですすめられていると考えていますし、知事がこれまでから主張されてきたように、区割りや組織といった「かたち」中心の議論ではなく、住民ニーズを出発点とした行政のあり方を実現していくためのアプローチであると考えています。

そこで、知事は、関西広域連合を通じて、どのような課題を克服し、何を実現しようとされているのでしょうか。ご所見をお伺いします。

先般3月に示された、「第1次骨格案」においては、広域連合は、広域連合で処理することにより1行政効果の向上が期待できる事務、2業務の効率的な執行が期待できる事務、3国からの権限移譲を受けて実施する事務について、広域計画の策定と連絡調整及び直接実施する事務を行うとされており、設立当初の第1フェーズでは、現行制度の範囲内で実施可能な事務又は制度改正に長期間を要しない事務として「広域防災」「広域観光・文化振興」「広域産業・科学技術振興」および、「資格試験・免許等」の事務を行うと例示されています。そこで、もう少し具体的な内容として、関西広域連合が設立されれば何がどのように変わるのかをお示しいだたきたいと存じます。

また、「広域連合議会」や参加自治体の長で構成する「広域連合委員会」など組織のあり方、財源については参加する自治体毎の分賦金を充てることなども示されています。

こうした骨格案に基づいて、7月に開催を予定されています第3回分権改革推進本部において基本合意をしようとされているとお聞きしていますが、現状、こうした骨格案の検討状況はどのようになっているのか。お聞かせ下さい。

◯知事(山田啓二君)

次に、今後の広域行政のあり方についてでありますが、市町村合併の進展に伴いまして、京都府におきましても、44あった市町村が26市町村に再編されるなど、市町村の広域化が進む一方、例えば、救急医療において府県をまたがってたらい回しがおきたり、産業廃棄物の都道府県をまたぐ処理が問題になったり、さらには、防災、交通など都道府県域を越えた広域的な対応が求められる課題が増えてきております。

関西ではこのほか、琵琶湖淀川水系の管理の問題、三空港の統合運用などの問題も生じておりまして、こうした課題に対して、現在の都道府県で効果的な対応がなかなか難しいという面が、正直、生じてきているもの事実であります。

地方分権の観点からは、私は、これから国に対してもしっかりとその存在を主張できる、よりパワフルな広域団体というものについて、活発な議論がなされるべきであるという立場から、道州制の議論についても臨んでいきたいというふうに考えておりますが、今の国の議論は国全体を大きく地方分権型に変えるというよりは、都道府県をひっつけてどうするというような区割り論とか、組織論が先行している点には、私は少々疑問を感じる場合があるというのは、御指摘のとおりであります。

特にこの間、国が財政問題に絞って、地方対策を講じてきておりますので、そういった背景を考えますと、やはりそれよりも、道州制によって地域住民にどのようなメリット・デメリットがあるのかをしっかりと示しながら、議論を進めていくことが必要ではないかなという風に考えております。

このため、関西では、府県域を越える広域行政に対する具体的なニーズをふまえながら、住民視点に立って実際のメリット・デメリットを勘案しながら対応していく、そういう考えで、関西広域連合の設置について、今検討を進めているところであります。

私は広域連合で当初処理する事務としては、1広域救急医療のためのドクターヘリの共同管理・運航や、2各府県で別々に行っている資格試験や免許事務の共同化など、住民の安心・安全の観点や、効果性の高い事務、共同化により効率化が図られる事務を中心に据え、同時に、将来、国から権限移譲についても関西が一体となって積極的に提案できるような、そういう組織構成が望ましいのではないかなというふうに考えております。

現在、こうした視点から、去る3月27日の関西広域機構の地方分権改革推進本部会議において提示された「第 1 次骨格案」をベースに、住民の皆様にとってのメリットある事務や、私は組織体制はできるだけ簡素であるべきだというふうに思っているのですけれども、こうした検討をすすめておりまして、今議会において、その状況もお示しさせていただきたいと考えております。今後とも議会に十分御報告・御相談をしながら取組を進めてまいりたいと考えております。

◯中小路健吾君

関西広域連合につきましては、今、すごいスピードで議論が進んでいるんだという風に思っています。その上で一つ懸念するとすれば、今のいろいろな自治体、都道府県、市町村がある中で、やはり屋上屋になってはいけないというような気がしています。

そのためには、前提として、一つは国からの権限移譲がどれだけ進むのかということと、もう一つは具体的にその組織が何に対して取組をしていくのかということが具体的に見えてこないといけないのかな、という風に思っています。

その意味では、今、知事から御答弁いただきました資格試験ですとか、あるいは河川の問題、それからドクターヘリ、こういうものだけはもう少し、それぞれがどういう費用負担で、どういうふうに進んでいくのかが見えてくれば、関西広域連合というものの意味合いというのがもっと明確になってくるのではないかなと思いますので、この辺りにつきましては、これから委員会等でも会派としてしっかりと議論をしてまいりたいなというふうに思います。