議会活動

持続可能な漁業の振興について

平成 20 年 2 月定例会:一般質問 (2)

◯中小路健吾君

次に、持続可能な漁業の振興についてお伺いします。

ご案内のように我が国は世界の中でもトップレベルの水産資源の消費国です。少々古い数字ですが、2004 年、日本の漁獲量は 452 万トンで世界第 6 位、また輸入金額は 148 億ドルで世界第 1 位となっており、生産国としても消費国としても重要な位置を占めています。まさに、我々日本人の海の恵による豊かな食生活は全世界の水産資源によって支えられているといっても過言ではありません。

また、世界全体の漁獲量もこの半世紀で飛躍的に増え続けてきました。

国連食糧農業機関(FAO)によれば、1950 年に 2000 万トンだった漁獲量が、1980 年にはおよそ3倍に増加しました。また、近年では世界全体での水産物に対する需要は、BSE や鳥インフルエンザの影響による食肉への不安や健康志向の高まりによる欧米での需要の増加、経済成長に伴う中国での急激な需要拡大などの結果、大幅に増加しています。

しかし、一方で 1980 年代の半ばから漁獲量は頭打ちになっています。その原因は世界的な乱獲や海の環境変化による資源の枯渇にあると言われています。

このように世界的には、需要の急増と漁獲量の頭打ちによって今後、需給が極めて逼迫することが予想され、価格の高騰などが懸念されています。

また、地球温暖化の影響や海水の温度上昇など自然環境の変化に起因する生態系の変化もまた漁業に影響を及ぼしていると言われています。

例えば、昨日にも少し触れられましたが、本府においても、今年は1月に入り寒ブリが非常に豊漁だということです。昨年 12 月には1トンと不漁だったのに対し、今年は 1 月 20 日の時点で 83 トン、8617 匹と 10kg 級の寒ブリが多く水揚げされています。寒ブリは 昔から丹後沖で非常に多く漁獲され、カニと並び冬の丹後の味覚として親しまれてきましたが、1950 年代をピークに漁獲量は減少し、1985 年には 2 トンまで落ち込むなど不振が続いてきました。近年では、能登や佐渡での豊漁が続き、海水温の上昇によってブリの分布域が北へ移ったのではないかと心配されていましたが、今回は 1998 年以来 10 年ぶりの豊漁となりそうだということです。

また、サバ科の出世魚であるサワラの水揚げも2年連続で日本一となりました。昨年1年間の漁獲量は平成 18 年比 28.5%増の 2,230 トン、金額にすると約6億円とのことです。

本府におけるこうしたサワラの漁獲量の伸びもまた海水温の変化によって回遊する海域が広がったことによる影響ではないかと言われています。

こうした地球規模での資源の枯渇や生態系の変化に対する危機感から、今、全世界的に持続可能な漁業に対する期待が高まりつつあります。

その一つの取組みが「MSC 認証制度」です。

「MSC 認証制度」は、持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業に対して認証を与える制度であり、イギリス・ロンドンに本部のある「海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)」が定める「持続可能な漁業のための原則と基準」を満たす漁業に対して与えられる認証と、認証された漁業から産まれた製品の製造、加工、流通のそれぞれの段階で適切に管理されていることを認証する「COC 認証」があり、それぞれ認証を受けた製品にはロゴマーク入りのラベルを添付することができます。

現在、世界各国でもアラスカのサケ漁業、スケソウダラ漁業など24の漁業が認証を受けており、2007 年 3 月現在では 600 品目を超える認証製品が流通しています。

そして、現在、本府において日本で初めてとなる「MSC 認証」取得に向けた動きがすでに始まっています。

舞鶴市の京都府機船底曳網漁業連合会がズワイガニとアカガレイ漁業での取得を目指して、活発なお取組みをすすめていただいているところであり、本府も積極的にサポートしていただいているところです。そして現在、第 3 者機関による予備審査をパスし、2006 年 1 月から本審査が開始されているとお聞きをしているところです。

そこで、まず、現在の MSC 認証取得に向けた状況および今後の見通しをお聞かせいただきたいと思います。

次に、「MSC 認証制度」の普及・拡大についてです。

現在、世界的にはこうした MSC 認証の製品の流通及び消費が大きく伸びてきています。

例えば、世界最大の小売業であるウォルマートは 2006 年、北米市場において5年以内に天然の水産資源すべてを MSC 認証製品とすることを宣言しました。

「MSC 認証制度」における最大のポイントは、「消費者の選択」によって「漁業者の利益」を確保する点にあります。つまり、消費者の側から供給者に対して環境保全へのインセンティブを付与する仕組みとなっています。

その意味で、こうした MSC 認証制度が機能するためには消費者が選択する機会を増やしていくことがより重要になります。

日本では、2006 年以降、店頭に MSC 認証製品が並ぶようになり、現在ではイオングループや生協などが MSC 製品の扱いを開始するなど、少しずつ拡大し始めていますが、まだまだ選択の機会が多くあるという状況にはありません。

そこで、こうした MSC 認証制度の普及・拡大に向けて、流通・小売業者に対する積極的な働きかけが必要になると考えますがいかがでしょうか。同時に、消費者に対する普及・啓発など意識の変化を促す取り組みも必要と存じますがいかがでしょうか。

今回、舞鶴市での取組みが認証されれば、日本のみならずアジアで初の認証となります。

まさに、地球環境保全に対するメッセージを京都から全世界に発信する大きなチャンスであると考えます。是非とも、積極的なご答弁をお願いします。

○農林水産部長(黄瀬謙治君)

持続可能な漁業の進行についてでありますが、近年、欧米や中国などで水産物需要の増加や世界的な乱獲が進み、今後、漁獲量が減少し、需給が逼迫することが懸念されており、世界レベルでの水産物の資源管理が求められております。

こうした中、欧米で積極的に取り組まれているMSC認証制度は、議員御指摘のとおり、消費者が水産物の資源や環境に配慮した漁業を応援することにつながるものであり、極めて重要であると考えております。

京都府機船底曳網漁業連合会では、2年前に、ズワイガニとアカガレイ漁について、MSC認証取得の申請を行い、専門チームによる評価や現地調査などを経て、現在、認証に向けた最終報告書が作成されているところであり、本審査の最終段階にきております。この間、府立海洋センターでは、連合会の申請にあたり、20年以上にわたって海洋調査船で収集した、ズワイガニの分布実態や資源量をはじめ、詳細な科学的データを提供するなど、全面的に支援してまいりました。

京都府といたしましては、アジア初の快挙となるこの認証が1日も早く得られることを強く願っており、近いうちに認証が下りるものと考えております。

認証が得られれば、関係団体とともに、MSC認証制度のPRを広く行い、流通・小売業者に対して、MSCのロゴマークが付いた水産物の積極的な取扱を働きかけるとともに、消費者の方々にも、水産物の資源管理の重要性に対する理解を深めていただき、持続可能な漁業の取組が京都から日本全体に広がっていくよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えています。