議会活動

児童虐待対策について

平成 20 年 2 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。

先に通告しております数点につきまして、知事ならびに関係理事者に質問をいたします。

3つの課題につきまして一括で質問をさせていただきます。

最初に、児童虐待対策についてお伺いします。

一昨年 10 月に長岡京市内で起こった、両親の虐待によって3歳の男の子が餓死するという大変悲しい事件から1年あまりが経過をいたしました。

この間、悲しい現実ではありますが、全国で発生している虐待事案やそのことによって子どもの命が失われてしまうという事件の報道などを耳にする度に、あの出来事から我々はいったい何を学んだのだろうかと胸が痛くなります。

本府においても、児童虐待相談受理件数は、平成 19 年度の 4 月から 9 月の上半期の速報値で 268 件の相談が寄せられています。これは、今年度、半期だけで平成 15 年度、16 年度、17 年度それぞれ1年間の数字に匹敵するくらいの件数となっています。

そこで、今回はあの事件から1年あまりを経過した現時点で、これまでの取り組みの成果や反省を含めた総括の意味を込めて質問をさせていただきたく存じます。

長岡京市内での虐待死事件を受けて、本府では「京都府児童虐待検証委員会」によって検証報告書が出されました。

その中では、1 虐待に関する情報や兆候などがあったにも関わらず安全確認などがなされなかったという「虐待情報に係る判断のあり方」、2 組織内の情報共有がなされていなかったという「組織としての対応のあり方」、3 地域のそれぞれの主体の役割分担が不明確であったという「地域ネットワーク会議との連携のあり方」の3点が問題点として指摘をされています。

その上で、1の情報判断の問題に関しては、48時間ルールによる安否確認、見守り対応のルール化など「速やかな安全確認ルールの確立」、簡易チェックリストや実践的な事例検討会など「リスク管理の客観化・システム化」が提言されています。

2の情報共有の問題に関しては、受け取った情報の取扱い慣習の見直しやチームミーティングの開催など「情報共有の徹底」が求められています。

3の地域のネットワークと連携については、市町村要保護児童対策地域協議会等の位置づけの明確化やアドバイザーの派遣など「虐待防止ネットワークの構築」や保健所の役割の明確化と強化といった「地域における体制の強化」が提言されており、最後に、これらの対策の実施を確実に行っていくための「中長期的な人材育成・組織体制の強化」と「外部有識者等の活用・定期的な運用指導」の必要性が示されています。

こうした提言を受け、平成 19 年度の当初予算では「児童虐待対応強化事業」として、児童福祉司など専門職員の増員、各保健所への虐待対応専任職員の配置、虐待防止アドバイザーの派遣、児童虐待対応会議の定期開催などの予算措置がなされたところです。

そこで、まずこれら提言に基づいた対策・取り組みを実際に行ってきたうえで、本府としては現状をどのように評価されているのか、お伺いいたします。その上で、現時点での課題認識等についてお聞かせ願いたいと存じます。

課題の一例を挙げますと、市町村要保護児童対策地域協議会の設置があります。

これは、児童福祉法に基づく法定協議会で、法改正により本年4月から各市町村に設置の努力義務が課されます。本府においても、見守り対応の具体的な方法等を検討する機関として位置づけられており、地域ネットワークを形成する重要な役割を果たすもので、全市町村への設置を目指すとされていますが、今のところ順調に設置がすすんでいる状況にはないとお聞きをしております。現状と対策についてお聞かせ下さい。

次に、児相の業務管理や組織運営を定期的にチェックするための外部評価委員会が設置されているとお聞きしています。こうした外部からのチェックは、検証委員会からの提言にもあるように、虐待情報への適切な判断がなされているか、組織として情報共有がなされているかを確認する上でも重要になると考えます。そこで、外部評価委員会での評価の状況についてお教えいただきたく存じます。
最後に、先ほども触れた、児童虐待の相談受理件数の増加傾向を見ても、やはり問題の 本質は児童虐待がこれだけ多く起こっているという事実にあります。その意味で、虐待そ のものを防止していくためにどのような対策を行っているのか。ご所見をお伺いします。

◯知事(山田啓二君)

中小路委員の御質問にお答えいたします。

一昨年、長岡京市で発生した児童虐待死亡事件を踏まえ、こうした悲惨な事件が繰り返されないように、この間、検証委員会の提言に沿った取組みを全力で推進してまいりました。

主な取組みといたしましては、御指摘ありましたように、専門の児童福祉司の増員等体制の強化をはかり研修を強化するなど知識水準の向上を図って48時間以内での確認など迅速な対応をしっかりと行っていくという虐待情報に係る判断のあり方の適正化、さらには、虐待相談ITシステムを導入し、情報共有を図るとともに、虐待対応協力員等の増員による組織の強化、そして、地域ネットワーク会議として、地域に密着した保健所に虐待対応専任職員を配置して、関係者による児童虐待会議を積極的に推進し、必要に応じた虐待アドバイザーも派遣してきたところであります。

こうした取組みを通じ、通告案件全件について、速やかな緊急ミーティング、安否確認・初動方針当の所内協議・決定を行う方式が手帰着をしてまいりました。

また、通告があった際も、本人だけではなく、長岡京市の事件を踏まえ、その兄弟への安否確認等も同時に行うといった高いハードルを課しまして、全通告案件に徹底するという危機意識を持って取り組んできております。

併せて、他府県には例を見ない保健所での職員配置等により、安否確認等の時間を短縮、見守り体制の強化を図ってまいりまして、これによりまして、通告案件について、不在等で会えない例を除きましてほぼ全件について、提言いただきました48時間以内の安否確認が行われております。

確か通告件数が増えておりますけれども、これは単に虐待件数が増えただけということではないと私は思いまして、こうした取組の中で、地域住民の皆様の関心も高まり、そして掘り起こしをしてきた結果、やはり出てきたものも大分あるんではないかなというふうに思いまして、その面からは一定の効果を上げてきているんではないかなというふうに考えております。

しかしながら一方で、御指摘のありましたように、外部評価委員会の皆様からは、速やかな安否確認を行う上で、民生児童委員など安否確認・見守りを行える地域ネットワークを更に拡充すること、そして、市町村の対応に差が生じており、更に市町村に対しても強力に働きかけること、また、学校や医療機関等虐待情報に接する可能性のある関係機関が速やかに情報連絡するよう一層の意識向上を図ることなどの課題も提起されており、一方、年々近隣とのつきあいのない家庭やネグレクト事例など、対応が難しいケースが増えるとともに、児童虐待の通告件数も増加しているので、来年度、児童相談所に専門職員を増員し、必要に応じ保健所に派遣することとしており、家庭問題に対する相談体制を更に充実強化するとともに、今後、市町村、関係機関等との意思疎通を一層、密にし、家庭支援総合センターの設置によりまして、総合的・専門的な対応体制の強化を図るなど、児童虐待への危機感を風化させることなく、外部評価委員会等での評価など常に緊張感を持ちながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

○保健福祉部長(和田健君)

市町村要保護児童対策地域協議会の設置状況についてでありますが、既にほとんどの市町村で設置されている児童虐待防止ネットワーク会議の活動をより充実・強化する観点から、順次、地域対策協議会に移行されるよう積極的に働きかけてきたところであります。

現在では11市町、また、今年度末には17市町村、来年度中には、全市町村で設置の見込みとなっております。

この協議会については、市町村、警察、保健所、児童相談所、民生児童委員など関係機関が、被虐待児童をはじめ、保護の必要な自動に係わる情報を共有化し、速やかな安否確認や実行ある見守りが行えるよう、市町村をサポートしてまいりたいと考えております。

外部評価委員会についてでありますが、昨年9月に設置後、各児童相談所で現地調査を行い、現在、評価の取りまとめが行われております。

委員会からは、各児童相談所とも緊張感を持って児童の安全確保に取り組んでいるといった意見がある一方で、先ほど知事からお答えしましたとおり、課題も提起されており、今年度末にいただく評価結果を今後の児童相談所の適切な運営に反映させたいと考えております。

児童虐待の未然防止につきましては、子育てに対する不安の解消や地域で子育てを支え合うために、相談体制の整備や子育て支援団体等とのネットワークの構築が重要と考えております。

このため、地域子育て支援センターや子育てサポートセンター、民生児童委員などによる相談体制の充実をはじめ、子育て支援のためのネットワーク作り等に取り組んできたところです。

更に、今年度から取り組んでいる地域力再生プロジェクトを通じて、地域での親子の交流の場づくりや虐待予防の取組みが進められており、今後、関係者との協働により、こうした団体等とのネットワークを拡げるなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。