議会活動

京都府における道路整備の方針について

平成 19 年 9 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。

先に通告しております数点につきまして、知事ならびに関係理事者に質問をいたします。

最初に、京都府における道路整備の方針についてお伺いします。

現在、本府が管理をする道路の改良率は平成17年で58.1%となっており、毎年着実に伸びてはきているものの、全国平均の69.5%には遠く及ばず、全都道府県の中でも 40 番目という位置にあります。

また、国土交通省が行っている「道路利用者の満足度調査」においても、手元にある資料では平成 13 年度以降、平成 17 年度まですべての年度にわたり本府の利用者の「よく使う道路全般」への満足度は全国平均を下回っています。とりわけ個別の項目からは、よく使う道路の「渋滞状況」や車や自転車で通行する際、または歩行する際の「安全性」に対しての満足度が低いことなどが推察されます。

併せて、台風 23 号被害からも明らかなように本府の地形的特性からくる自然災害に対する道路網の脆弱性が指摘されていますし、交通事故による死者数も近年は減少傾向にあるものの本府における死傷事故率は全国でもワースト6位に入るなど交通安全面からも道路整備への期待が寄せられているところでもあります。

このように、全国との相対的な比較や客観的な整備状況からも、府民の目線に立った主観的な評価からも、府民の安心・安全の確保という政策的な観点からも、本府における道路整備に対する期待やニーズは依然多く存在するといえます。

しかし一方で、こうした道路整備を行っていくための財政的な制約は非常に厳しいものがありますし、今後より一層厳しいものになることが予想されます。

本府における道路への投資額は、道路統計年報ベースで、平成 10 年度の 960 億円強をピークに、平成 17 年度では約 540 億円、平成 18 年度では約 440 億円、平成 19 年度の当 初予算額では約 390 億円と大幅な減少傾向にあります。

さらに、平成 17 年度には、普通建設事業費に公債費を加えた実質投資的経費を平成 17 年度当初予算ベースの約 1,900 億円に抑制するという「公債費プログラム」が、本府における経営改革の一環として策定されました。これは、府債残高からして、今後、公債費が増加していく傾向にあることを考えれば、道路整備の財源である普通建設事業費は、当面の間、減少が続くことを意味します。

また、本府においては、これまでの道路整備の当然の帰結として、管理すべき道路延長が増加してきていますし、今後架設後50年以上となる橋梁の増加等が指摘されており、道路の維持管理に係る経費が増大することが予想されます。

さらに、当然のことながら、道路整備に際しては、良好な生活環境や自然等への配慮が求められ、その結果として、一つ一つの道路整備に係る費用も高い水準のものが求められています。

こうした多くの期待やニーズと財政的な制約の間で、本府の道路行政においては、平成 15 年に「京都府の道づくりガイドライン」を策定し「1.5車線的道路整備」の導入などにより効率的かつ即効性のある整備をしていただいているところですし、平成 17 年には「京都の道・長寿プラン」を策定し「アセット・マネジメント」の観点に立った努力をしていただいているところでもあります。

併せて、公共事業評価システムの体系的な整備や環の公共事業ガイドラインなどそれぞれの課題に対応した取組みも推進いただいているところでもあります。

さて、このようにそれぞれの施策を展開している状況の中で、今回、新たに今後の10年間の道路整備の指針となる「京の道・十ヶ年計画」を策定するため「府の道づくり検討委員会」を設置し、先般8月に第 1 回の検討委員会が開催されたとお聞きしております。

そこで、まず今回の計画策定に際して、本府としての問題意識、議論の方向性についてどのようにお考えかお伺いをいたします。

また、今回の検討委員会の中では、各地の道路整備において優先順位をつけるため透明性の高い基準づくりを検討していかれるとお聞きをしております。

先ほどから述べてきたように、府民からの道路整備に対するニーズは多種多様かつ件数としてもかなりのものがあります。また、その主体は個人レベルのものから自治会あるいは自治体まで多岐にわたります。このことは我々議員が日常的に活動している中でも本当に強く実感させられる場面が多々あります。

しかし同時に、多くの府民の方々は現在の本府がおかれている財政状況も非常によく理解していただいており、その先行きに対して懸念をお持ちの方も少なくはありません。

こうした状況の中においては、効率的・効果的な道路整備を行うことによって府民の満足度を高めることはもちろんのことながら、より多くの府民が「納得」できるような道路行政でなければならないと考えます。

そして、そのためにも今回ご検討されるような「客観的で明確な道路整備に対する基準」づくりは欠かすことができません。

ここで一例を挙げますと、佐賀県の佐賀市では「道路整備事業評価システム」が導入されており、市内の全自治会から道路の拡幅や舗装、橋梁の新設、ガードレールや道路照明など道路整備に対する幅広い意向調査を行い、路線・施工箇所のピックアップを行います。

その上で、1道路交通網の整備、2生活道路の整備、3他事業関連道路整備、4道路危険箇所補修のいずれかに振り分け、それぞれの箇所の現地確認や情報収集が行われます。そして、それぞれの箇所ごとに現場用件として、1)道路の現況、2)道路機能の保全状態、3)道路の利用度、4)地域住民の協力体制、5)事業用地取得の可能性、6)周辺他事業の進捗度、7)事業規模の7項目、さらに、事業化用件として、1)事業種別、2)重点整備目標との整合性、3)予算枠、4)事業計画の熟度、5)事業の継続性、6)周辺他事業との整合性、7)事業効果の7項目の合計100点満点での評価が行われ、事業の優先順位が決定され、その結果についてはそれぞれの要望主体に報告がなされるという仕組みです。

この仕組みのポイントは、それぞれの事業箇所ごとの「客観的な評価」がなされることであると同時に、評価された情報が「共有」されるという点にあるのではないでしょうか。

すなわち、数多くある道路整備に対するニーズ全体の中において、それぞれのニーズや要望が実現に向けてどのような位置にあるのかということを知ることができる仕組みになっているということです。

全体としてどの程度のニーズがあるのか、自らが望む道路整備の優先順位はどの程度なのか、事業化に向けてはどのような課題があるのかといった情報を知ることは「納得」を引き出す上で非常に重要であります。

そこで、今回検討される「京の道・十ヶ年計画」における「基準づくり」に対するお考えをお聞かせ下さい。そして、同時に、「基準」に基づく評価については、それぞれの情報が広く公開され、共有化されるようなプロセスづくりをしていくことが必要になるかと存じますがいかがでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

京の道・10箇年計画についてでありますが、京都府は、これまでから基幹道路から生
活道路に至るまで、安心安全の確立、府民生活の向上と地域活性化などを目指した道路整備に全力を上げて参りました。

しかし、今なお、京都府の背骨を形成する高速道路等の幹線道路は未だネットワークとしては繫がっておらず、その機能を十分に果たしていない、もったいない状況にあります。また、生活道路につきましても高齢化社会等に十分対応しておらず、まだまだ安全な道路の確立に課題を残しております。

こうした中、府の厳しい財政状況を踏まえ、課題対応型の効率的、効果的な道路整備に積極的に取り組んできておりまして、ご指摘のように平成14年には公共事業評価システムにおける事前評価制度を導入致しまして、事業の効率性や実施過程の透明性の一層の向上を図って参りました。

また、平成15年には、地方山間部の生活道路の整備の即効性とコスト縮減を図るために、「京都府の道づくりガイドライン」を策定して、1.5車線的整備を導入し、平成16年には、「環の公共事業ガイドライン」を策定して、環境の視点から公共事業を総合的に評価する仕組みを導入し、環境への配慮を行って参りました。

こうした取組をもう1度整理した上で、更に肉付けするために、今後の10箇年の道路整備を進めるための指針となる「京の道・10箇年計画」を策定することと致しております。 本計画の策定に当たりましては、各界から広く意見を反映する必要がありますので、また分かり易く公平な視点が求められていると考えますので、有識者や経済界、福祉分野などの代表からなる「京の道づくり検討委員会」を設置しております。

この検討委員会では、10年後の道路整備の目標、具体的には、幹線道路など基本となる道路網の充実、歩道等のバリアフリー整備等安心・安全のための道路の充実、また道路資産活用のためのアセットマネジメントの推進など、府民生活と道路資産の状況を踏まえて、道路の質を上げていくための重点課題を明確化することとしております。

併せて、幹線道路や生活道路ネットワーク形成のための一定規模以上の事業につきましては、整備優先度を評価する必要があると考えておりまして、評価基準の考え方についても、御議論を頂く予定であります。

具体的な評価基準につきましては、自然災害に強い道路網や誰もが安心して歩ける道路、景観や環境に配慮した道路など個々の政策課題に対して分かり易く評価できる指標の設定を考えておりまして、今後、検討委員会で議論していただきたいと考えておりますが、余り細かく係数を積み上げていく方式をとってしまいますと却って全体が見えなくなってしまうおそれがありますから、評価を基に府民の皆様や地元の皆さもと十分に話し合いを重ねていく中で道路整備のあり方を考えていく、そのためにはやはり機会を捉えて情報を公開し、意見を聞く場を設けて、計画策定過程においても透明化するということが大事であると思っております。

検討委員会でもそういった立場を重要視しまして、議論自身も毎回ホームページに掲載することにしておりまして、その都度意見も公募することにしております。

そして、計画案を作成した段階では、議会に御意見を伺い、パブリックコメントを通して府民の意見を反映し、計画策定後におきましては、基準の運用状況など情報の公開についても、府民との情報の共有化と連携を進める観点からしっかりと検討して参りたいと考えております。

◯中小路健吾君

積極的な後答弁ありがとうございました。

本当に限られた財政的な状況の中で、その限られた資源をどのように配分していくのかという問題でありますし、そのためには納得をしていただくこと、そして理解をしていただくことが何よりも重要になってくる。そのときに、やはり一つは、ルールが明確であるということと同時に、そのルールに基づいた結果が共有されて初めて「納得」というものは引き出せるというふうに思いますので、今後、検討委員会での議論もあろうかと思いますけれども、ぜひともそうしたルールづくりがなされるように要望いたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。