議会活動

映画・映像産業の振興について

平成 18 年 9 月定例会:代表質問 (6)

◯中小路健吾君

次に、産業活性化という観点から、「映画・映像産業」の振興についてお伺いいたします。

本府においては、本年6月の補正予算で「京都映画・映像産業ルネッサンス事業費」を計上し、映画を含めたいわゆる映像コンテンツ産業を京都府の地場産業として活性化していく方針を打ち出されました。映画産業全体の状況を概観すれば、テレビやビデオの普及、レジャー産業の多様化などを背景に、観客動員数がピーク時のおよそ 10 分の1に減少するなど、長期的な低迷が指摘されてきましたが、近年、シネマコンプレックス、いわゆる「シネコン」の増館に伴うスクリーン数の増大などの影響で、入場者数、興行収入ともに減少傾向に一定の歯どめがかかり、変化の兆しがあらわれてまいりました。また、外国映画に押されぎみであった日本映画の状況についても、外国での日本映画への評価の高まりや、テレビと連動した形での広報戦略を通じた大ヒット映画の登場、アニメ作品の活況など、同様に変化の兆しがあらわれつつあります。さらに、映画をコンテンツとしてとらえるならば、デジタル放送の普及や通信のブロードバンド化による供給形態の多様化はさらに「映画」の産業としての可能性を感じさせるものです。

そうした状況のもと、映画産業の制作・配給・興行という一連の流れの中でも特に映画制作の中心として栄えてきた京都ではありますが、先ほども触れた長期的な傾向の中で少し元気がなかったのが実情ではないでしょうか。その意味で、この間の低迷傾向を逆転させる大きなチャンスが目の前にある状況だと言っても過言ではありません。また、映画制作の復活は、映画産業の活性化という側面だけではなく、多くの分野への波及効果があると言えます。今日の映画制作においては、コンピューターグラフィックスなどデジタル技術は映像表現の可能性を高める意味でも、制作コストを低減させる意味でも、欠かせないものになっています。その意味で、来春から立命館大学に設置される映像学部と松竹による産学連携などは、「知」の集積地である京都と「映画の都」としての京都の融合であり、 今後の産学連携、あるいは産学公連携への可能性を大いに感じさせるものです。

また、映画の制作に際しては、衣装など多くの「モノ」が必要になるわけであり、京都で映画が制作されるということは、京都府内に新たな需要が発生するということを意味します。お聞きしたところによると、現在、京都で撮影が始まった 12 月公開予定の映画「大奥」は、テレビドラマでも人気を博し、従来の時代劇というジャンルを超えた話題作ですが、その衣装代だけでもおよそ1億円かかるそうです。このことからも、新たな需要喚起という観点から、他のさまざまな産業への波及効果の大きさがうかがい知れます。もちろんこれまでも議論されてきましたが、ロケ誘致やそれに付随したロケ地観光など、観光振興という側面からも大きな影響を与えるものです。以上の点からも、映画産業の振興は京都産業の活性化にとって大きなポテンシャルを有しているものと言えます。

そこで、こうした映画・映像産業の振興に向けて「グランドビジョン」の策定作業を現在されているわけですが、その方向性、現状の認識と課題についてどのような議論がなされているのでしょうか、お伺いいたします。

また、そうした作業の中で、「日韓コンテンツ産業交流事業」として韓国を訪問されたとお聞きしております。御存じのとおり、韓国や台湾のドラマや映画が一大ブームとなりましたが、その背景には国家戦略としてのコンテンツ産業育成があることは周知の事実であります。

そこで、今回の訪韓から見えてきた課題、あるいは韓国の映画産業との連携の可能性などをどのように総括されているのでしょうか。

映画産業をめぐっては、ロケ誘致など国内での競争環境も厳しくなりつつあります。そうした観点からも、本府としてのさまざまな過去の蓄積を生かしながら、新しい時代に即した産業として再生していくことが重要になります。ぜひとも積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。

◯知事(山田啓二君)

次に、映画・映像産業の振興についてでありますが、日本映画発祥の地・京都には、議員からもお話がありましたように、撮影所や映画を支え続けてきたいろいろな職人さんのわざを初め、映画づくりに関する大変豊富な資源が蓄積をしておりまして、映画・映像産業は伝統産業や観光など幅広い分野への波及効果も高いわけですので、私は京都を代表する文化の一つであるというふうに言っても過言ではないと思っております。しかしながら、映像産業の東京への一極集中が進む中、京都での制作本数が減少するなど、非常に厳しい状況がただいま生じております。またその一方では、御承知のとおりインターネットの普及等によりまして新しい映像市場が生まれてくるとともに、大学で映画・映像学部の新設が計画され、人材育成が始まるなど、今、京都の映画・映像産業は大きな岐路に立ってい るというふうに考えております。

このため京都府では、京都の映像産業の長期的な振興に取り組むため、本年3月、経済界や大学、映画制作会社等の参画を得まして「太秦映像プロジェクト」を立ち上げ、映画づくりにかかわる国内外との交流を促進し、人や情報が京都に集結してくるような、そういう仕組みをつくっていきたい。また、産学公の連携により、京都の映画資源を結集し、人材の育成や技術開発、技術の伝承を図っていきたい。そして、これは京都の場合には北から南まで、舞鶴等もフィルムコミッションに取り組んでおりますけれども、映画を利用した観光等、地域振興や新たな産業育成の活用、新たな市場開拓へ結びつけていきたいということをテーマに議論を行いまして、今「グランドビジョン」づくりを進めているところであります。あわせて、映画のすばらしさを府民や観光客の方に知っていただき、映画 産業の復興の起爆剤とするため、来春に「太秦フェスティバル」の開催も予定しているところであります。

さらに先月末には、プロジェクトのメンバーと私も韓国を訪問いたしまして、国の機関、大学、企業等との意見交換を行ってまいりました。韓国ではやはり非常に国家施策として映像産業の振興が図られておりまして、関連機関が密接な連携を保ちながら、人材育成や海外への市場開拓が行われるなど、学ぶべき点が非常に大きかったと思いますし、また、韓国側も京都の技術の高さを評価いただきまして、日韓双方で映画の質を高めていく、市場を拡大するための交流を深めていくことで考えが一致しました。また同時に、このミッションには東京からもかなり映画会社の幹部の方が参加していただきまして、私はやっぱりそういった面からも、京都の映像にかける意欲というものも御理解いただけたんじゃないかなと、この点も大きかったというふうに考えております。

今後、これらの取り組みを通じまして、新たな文化を創造し、多くの産業の牽引役となる映画・映像産業をもう一度再生し、「映画の都・京都づくり」を推進してまいりたいと考えております。