議会活動

地方分権と地方交付税改革について

平成 18 年 9 月定例会:代表質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党・府民連合議員団の中小路健吾でございます。私は会派を代表して、さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

質問に入ります前に、議長のお許しをいただき、一言申し上げます。去る9月6日、秋篠宮様・紀子様御夫妻の間に御長男悠仁(ひさひと)様が無事御誕生されました。ここに、心からお祝い申し上げますとともに、悠仁様の健やかなる御成長を心から御祈念申し上げます。

次に、今定例会に提出されました補正予算についてです。

本年7月の豪雨は、全国各地においてさまざまな被害を及ぼしました。本府においても、京丹後市で尊いお二人の命が奪われるなど、多くの被害が発生いたしました。まずここで、亡くなられたお二方に対し心からお悔やみを申し上げます。また、被災された方々には、一日も早い復旧・復興がなされますようお祈り申し上げますとともに、我々も京都府当局あるいは関係市町村とも連携しながら、復興・復旧、そしてさらなる防災体制の整備に努力をしてまいる所存であることを申し述べさせていただきます。

今回の補正予算においては、こうした豪雨被害に対応し、災害復旧及び災害防止対策の予算が計上されました。また、障害者自立支援法施行以来、障害者及び関係者の方々は大変厳しい状況に置かれ、10 月以降さらに厳しい状況になることが予測されます。そうした緊急的かつ今まさに目の前にある課題に対し迅速に対策をとられたことを、我々民主党・府民連合議員団としてまずは高く評価する次第でございます。

それでは、質問に入ります。
まず、地方分権時代における府政運営の方針並びに財政運営という観点から、数項目にわたりお伺いいたします。

知事は御就任以来、さまざまな面での改革を進めてこられました。それは財政再建のみならず、厳しい雇用情勢への対応や地域経済の立て直しなど、目前にある状況や課題への対応というマイナスを出発点としたいわゆる再建の過程であると同時に、あるべき社会の姿や京都府のあり方を目指す未来に向けた前向きの改革であると認識しています。そして、その「あるべき姿」の柱にあるのが「地域主権の確立」「分権型社会の実現」にあるかと存じます。知事が2期目のマニフェストで示されているとおり、人々の結びつきを強めることが、京都の「人」の力を生かし、地域を再生し、元気な京都の未来をつくり上げる方法であるという思いは、まさに分権型社会の礎となるものですし、さらに言えば、そうした個人や地域を出発点とすることなしに、財政面など数多くの制約条件の中で、多様化するニーズに対応し、府民一人一人が満足し納得できる行政運営はあり得ないと考えます。

さて、こうしたいわゆる地方分権の必要性が言われてから、かなりの年月がたちます。思い返せば、私がまだ学生のころから地方分権の必要性は叫ばれていましたし、当時議論されていた課題は、今なお議論されている多くの課題と本質的に変わっていない部分も多分にしてあります。とはいいながらも、この間、地方分権一括法の施行や三位一体改革など、現実面でも地方分権の流れは間違いなく進んできましたし、現在も進行中であります。もちろん、現在進展中の地方分権改革の一つ一つを見れば、「あるべき姿」と「現実的な思惑」などが複雑に絡み合う中で、さまざまな課題が散見されます。また、地方分権の進展は、それぞれの地域にとって無条件にバラ色の未来が約束されるものではありませんし、それぞれの自治体に対しては厳しい課題を突きつける側面があることも事実であります。

しかし、そうした状況の中においても、いま一度地方分権の理念や目的をしっかりと吟味しながら、一つ一つの課題を乗り越えて、真の意味での分権型社会の実現を目指していかなければならない、そう思うところであります。そうした共有認識のもと、以下、数点の項目を取り上げたいと思います。

こうした分権型社会の実現を目指していくためには、その担い手として京都府自身が主体的に変革していく必要があると同時に、国と地方の関係や役割分担のあり方もまた変革していかなければなりません。

そこで、まず地方財政改革のあるべき方向性とその見通しについてお伺いいたします。

この間のいわゆる三位一体改革については、さまざまな評価がなされてはいるものの、本来あるべき国と地方をめぐる財政構造という観点からは、多くの課題を積み残したものであると言えます。その意味で、ポスト三位一体改革とも言える今後の地方財政改革の方向性は、地方自治体を取り巻く状況に大きな影響を与えるものであると同時に、いま一度、分権の議論の本旨に立ち返る大きなチャンスではないかと考えます。そうしたタイミングの中で、ポスト三位一体改革の議論の端緒として、地方六団体が設置した「新地方分権構想検討委員会」の中間報告と、竹中平蔵総務大臣の私的懇談会である「地方分権 21 世紀ビジョン懇談会」の報告という2つの提言がなされました。この2つの報告書は、ともに地方財政の自立を目指すとしながらも、その方法論と理念の部分において異なる点も少なくはなく、地方分権をめぐる論点と哲学を象徴的にあらわしていると言えます。そして、そのことが端的にあらわれているのが、2つの報告が共通して取り上げている交付税改革に関する提案ではないでしょうか。

「新地方分権構想検討委員会」の提案は、「交付税」を「地方共有税」に改め、国税で集めた共有税を国の一般会計を通さずに「地方共有税及び譲与税特別会計」に繰り入れ、「地方共有税調整金」として地方へ配分すること、平成 18 年度現在8兆 7,000 億円に上る財源不足の解消のために法定率を引き上げること、3年から5年で法定率を変更し、その他の年度で不足額が出た場合、地方債や特別会計内に設ける基金で調整するといったものであります。一方で、「地方分権 21 世紀ビジョン懇談会」の提案する「新型交付税」は、現行の複雑な算定基準を簡素化し、人口と面積を基準に配分するというものであり、平成 19 年度予算からの導入を目指すとされています。この両者の提案は、地方交付税が有する「財源保障機能」と「財政調整機能」という観点から見れば、前者の「地方共有税」案が「財 源保障機能」を重視し、地方交付税の総額確保を念頭に置いた上で地方間のばらつきを調 整するメカニズムを提案しているのに対し、後者の「新型交付税」は、税源等の偏在の是正のための「財政調整機能」は残しつつ、「財源保障機能」については縮小をしていく方向にあるものと言えます。

そこで、まずお伺いします。現在展開されている交付税改革の議論の中心ともなっているこれら2つの提案に対し、知事御自身はどのように評価されておられるのでしょうか。

御所見をお伺いします。

また、これからより具体的な制度改正に向けての動きが活発化することが予想されますが、その見通しについてどのようにお考えかをお伺いいたします。

これらの議論の過程においては、知事御自身も全国知事会等を通じて参加をされるわけですが、その決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

中小路議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして、今回の補正予算につきまして高い評価を賜り、厚くお礼を申し上げます。

まず、地方交付税改革についてでありますが、地方交付税は、国民に基本的な住民サービスを安定的に提供できるよう、地方税の地域間の偏在を調整し、財源を保障する制度であります。住民福祉の維持の観点からも、交付税の問題は地方にとりまして大変重要な課題であります。

現在、大きな論点は、私は2つあるというふうに考えております。

1つは、交付税の性格に関する議論でありまして、これは財源保障という考え方と対になります。交付税はまさに住民福祉の確保のために地方公共団体の必要となる財源を保障するものである以上、交付税の額の議論はナショナルミニマムの水準をどこに置くかという基本的な議論なくしてできない問題でありまして、そのことを抜きにして、国の一時の財政事情によってその多寡が決まるような政策的財源ではありません。しかしながら、最近の議論は、こうした根本的な議論が捨象され、国と地方のどちらが苦しいかといったような感情的な議論に陥りがちであります。この背景には、交付税が国の財源なのか、それとも地方の財源なのか、混同して議論されることによって起きるものであります。これからの地方分権時代におきましては、地方が自立して責任を持って行動するためにも、財源 について地方六団体の「新地方分権構想検討委員会」が提言しましたのは「地方共有税」化でありますけれども、これはまさに国の一般会計に一度入れて総額を査定するような仕組みを改め、特別会計に直接繰り入れる制度にすることにより、地方固有の財源という交付税の性格を明確にした上で議論を展開すべきというものであります。既に知事会では、交付税問題は委員会を設置し議論してきており、私も参加をしておりますけれども、まさにこうした考え方を明確にすることが地方財政の安定には不可欠であると考えております。

もう1つの論点は、交付税の単純明確化、これは財源調整という考え方と私は対になると考えております。この問題につきましては、総務大臣の懇談会から問題が提起されまして、昨日、総務省から試案が提示をされたところであります。基本的には、義務づけがない部分、または薄い部分につきまして、算定基準の簡素化を図り、地方交付税の透明性と予見可能性を高め、これによって地方の自主性を高めるということでありますので、方向としては私は間違いではないと思っております。ただ、算定がそもそも複雑になっているのは、国による関与・義務づけが大きな要因でありまして、特に国が政策的な誘導のために交付税を使用し、それが地方にとって大きな歳出を引き起こしたことは紛れもない事実でありまして、まさにその部分を是正しなければならないのに、そうした反省と改善がな いまま算定の簡素化を図ろうとすれば、これは地方歳出抑制が既に俎上に上っている中で、総額抑制のための手段ではないかという疑いを持たれても仕方がないというふうに考えております。さらにつけ加えれば、税源偏在の是正については、東京一極集中による東京首都圏、そしてそれ以外の地域とでは税収格差が大幅に拡大しているのが現状であります。私は、地方税制の見直しにより地域間格差の是正が必要であり、こうした総合的な見地から、今後、年末の地方財政折衝に向けて活発化する地方交付税改革の動きに対し地方の意見を示すために、全国知事会等を通じ積極的な活動を続けるとともに、地域の住民の皆様に対しても責任を持って行政サービスが提供できるよう、国に対して働きかけてまいりたいと考えております。

◯中小路健吾君

積極的な御答弁ありがとうございました。

まず、地方財政改革についてでありますが、この点につきましては、知事のお立場として、もちろん京都府の財政を預かられているというお立場と、本来どういう制度であるべきかという部分では非常に難しい判断もあると思います。先ほど知事もおっしゃったように、まさにまずナショナルミニマムとしてどこがあるのか、だれが何をすべき責任があるのか、この点についてはやはりしっかりとした議論がなければ、その負担をだれがするのかという議論はないのかというふうに思っています。その意味でも、逆に、次に財政調整ということを考えると、これは地方の中でもすべて利害が決して一致する話ではないと思いますので、その中でもやはり地方分権を推進していくという観点からいえば、やはり明確な理念をしっかりと掲げる中で、国に対してもしっかり言うべきことは言っていく、こ ういう体制が必要かと思います。その意味でも、もちろん地方六団体の中でもしっかりとした知事のリーダーシップをぜひとも発揮していただきたいということをまず要望させていただきたいと思います。