議会活動

森林をめぐる諸政策について

平成 17 年 12 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党・府民連合議員団の中小路健吾でございます。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。 まず、森林をめぐる諸政策についてお伺いいたします。

近年、森林の持つさまざまな公益的機能に注目が集まり、とりわけ本府においても府域の4分の3を占める森林の保全が喫緊の課題であると認識されています。こうした森林をめぐる諸政策については、適正な森林施業、森林の管理等による木材供給という目的のみならず、水源の涵養、山地防災及び二酸化炭素の吸収・固定など、森林生態系の持つ多面的機能を持続的に維持していく公共財としての森林整備という側面と、林業として行われる諸活動、並びにこれを通じて生産される林産物の加工・流通・消費・廃棄など幅広い分野に及ぶ産業政策としての側面があります。そして、この両方の側面からの政策が車の両輪となってこそ、その効果が十分に発揮され、持続可能な取り組みが可能となるものだと考えます。

本府においては、まさにこうした視点に立った上で、平成 14 年度以降数次にわたる「緑の公共事業アクションプラン」に基づくさまざまな施策展開が図られてまいりました。公益性の高い森林の緊急的な整備、森林整備による新たな雇用の創出、木質資源の積極的な利活用、森林生態系の保全といった指針のもと、多くの事業が実施されてまいりました。また、先般の9月定例会では、森林の公益的機能の一層高度な発揮を図り、良好な地域環境の形成・保全と府民生活の安全の確保に寄与することを目的とした「京都府豊かな緑を守る条例」が成立し、来年4月から施行されるところであります。

このように、本府では知事のリーダーシップのもと、積極的な森林政策がとられているわけですが、数次にわたるアクションプランを見返してみると、年を追うごとに「府民との協働」という視点が色濃く反映されてきています。こうした方向性を支える理念が「モデルフォレスト」であり、これは流域森林を一つの単位として、林業団体や環境保全団体、周辺住民など利害関係者の総参加のもと、森林整備、木材の活用、生態系調査などを行う取り組みのことで、1992 年の世界地球サミットでカナダが提案した実践活動です。本府では、平成 16 年度より「京都モデルフォレスト創造事業」として全国でも先駆けて取り組んでいただいているところであります。そして本年、天王山と西山でこうしたモデルフォレストの具体的な動きが始まりました。

天王山は、京都府大山崎町と大阪府島本町にまたがる歴史的にも有名な地域ですが、近年、松枯れや放置竹林の拡大により、その整備が課題となっており、早い段階から竹林ボランティアなどの活動も盛んに行われてきました。そうした中、京都府、大阪府の両府及び地元自治体の働きかけと天王山の水の恵みを生かした地元企業の代表としてサントリー株式会社の積極的な協力のもと、地元地域の関係者、山林所有者である京都府森林組合連合会や酒解神社、大阪府森林組合、椎尾神社、ボランティア団体として大山崎竹林ボランティア、天王山をまもる会、島本森のクラブ、島本竹工房、みどりのトラスト協会など、多くの関係者が参加する「天王山周辺森林整備推進協議会」が本年3月に設置され、シンポジウムの開催や森林ボランティア行事の開催などの取り組みを進めておられます。また、 タイプ別の森林整備、環境教育の場の創出、基盤整備の実施などを目標として、約 250 ヘクタールを対象区域とした「天王山周辺森林整備構想」が 10 月に取りまとめられたところであります。

もう一方の西山は、長岡京市の西部に位置し、照葉樹林や落葉広葉樹林からなる豊かな自然であり、都市近郊の森林レクリエーションの空間としての場を多くの人々に提供していますが、天王山同様、近年の森林荒廃への対応が急務となっています。そして、この西山でもまた本年6月、京都府、長岡京市など行政、サントリービール京都工場などに代表される企業、地域住民代表や山林所有者、NPO団体や学識者などから成る「西山森林整備推進協議会」を立ち上げ、10 月には長岡京市内の西山一帯の森林区域約 800 ヘクタールを対象とした「西山森林整備構想(案)」が提案されました。この中では、杉・ヒノキの森づくり、斜面条件に応じた森づくり、竹林の保全育成、木竹資源の利活用、作業道・林道の整備、環境保全へのモニタリング体制の整備、環境教育空間の創出やレクリエーション 空間の創出など、具体的な取り組みが提案されています。

このように両地域における積極的な関係者の参加のもと、まさに「モデルフォレスト」の理念に基づく取り組みが具体化し、いよいよ来年度から本格的に実施されようとしています。そうした中で重要なのは、こうした構想が実効性と継続性を持つことです。

そこで、まず実効性という観点からお伺いいたします。両地域では、早い段階からボランティア活動などが活発な地域でもあること、また、地元自治体の御努力の成果もあり、山林所有者も非常に協力的であること、地元企業も積極的に取り組んでいただいていることなどの条件がそろっており、モデルフォレストに基づく森林整備に大きな期待ができるところであります。そこで、このように多くの主体が参加するモデルフォレストに基づく森林整備において、おのおのの主体がどのような役割を担っていくことがその実効性を高めるに際して重要になると考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。

また、そうした中で行政、とりわけ京都府はどのような役割を果たすべきであり、どのように実行していかれるのか、お伺いいたします。

次に、こうした森林整備は決して短期間で効果があらわれるものではなく、継続性を持った長期的な取り組みが必要になってきます。そして、この継続性を持たせていくためにも、こうした事業を長期的に支える費用負担も含めた安定した事業システムの構築が必要となります。その際、一つの大きな課題になるのが除伐や間伐によって発生する木材や竹材の有効活用です。一つの大きな障壁は、やはり搬出の困難さにあります。こうした障壁を取り除くためにも、作業道の整備など十分な基盤整備による搬出コストの低減・効率化が必要になると考えますが、この点について今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いします。

また、次の課題はこうした資源をどのように活用するかという点にあります。間伐材の有効活用については、先般の決算審議の中でも取り上げましたが、京都府下全域で積極的に事業展開をしていただいているところであります。そこで、今回のモデルフォレストの取り組みの中で発生する間伐材の活用方法について、どのように御検討されておられるのか、教えていただきたいと思います。

また、木質バイオマスとしての活用が大きく期待されるところではありますが、府内では製材工場の乾燥設備の熱源利用などの例はあるものの、まとまった量の確保や散在している資源の運搬・集積に課題があり、本格的なエネルギー源としての活用はまだまだ道半ばという現状にあるものと考えます。そこで、木質バイオマスの活用について、さまざまある課題に対する取り組み状況はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

府民参加による森林整備についてでありますが、府域の 75%を占める京都の森林を守り、CO2の吸収等地球温暖化防止を含めた公益的機能を確保していくことが大きな課題となっている中で、国の世論調査では4割を超える方が実際に森林づくりに参加したいとの意向を示すなど、その大切さは多くの方々に理解を得始めているというふうに考えております。

このような中、府民共通の財産である森林を次の世代に引き継いでいくためには、直接山にかかわっている所有者や森林組合だけではなく、森林からさまざまな恵みを受けている都市住民や企業なども参加し、府民みんなで森林を守り育てていこうという「モデルフォレスト」の運動を展開していくことが必要と考え、こうした森林づくりに向けた新しい仕組みを盛り込んだ「豊かな緑を守る条例」を先ごろ制定したところであります。今後、この運動を通じて、例えば豊かな水源の森、すぐれた景観を保全する森、京都の文化・伝統産業等をはぐくむケヤキやウルシの森づくり、竹林の整備など、京都の暮らしになじむ京都らしい多様な森林づくりを府民運動として進めていきたいと考えております。

今後、その取り組みを実効あるものにしていくためには、所有者、地域住民、ボランティア団体、企業、大学を初め、森林組合、行政等多くの関係者が森林づくりの方向や役割分担について定めた計画を策定し、そうした連携のもとに取り組みを進めていくことが必要であると考えております。特に、森林所有者の方々には、整備の必要な森林の提供、府民の皆様や企業には、森林づくりへの主体的な参加や資金の提供等による森林づくりへの支援、森林組合には、木材生産活動による健全な森林の育成等に加え、森林所有者との調整やボランティアの技術指導、そして市町村には、森林所有者・地域住民等への働きかけや森林づくり計画の提案とその実行のための総合調整などの役割を担っていただきたいと思っております。

そのために、京都府といたしましてもモデルフォレストの事務局機能を果たすとともに、府民等に対する啓発や参加の呼びかけ、森林ボランティアの育成、そして、地域の森林づくりを進めるための多様な主体が参加します協議会の設置や運営支援、各地域の取り組みを総合的に支える広域ネットワークづくりなどの役割をしっかりと果たしていく必要があると考えておりまして、今後、天王山や西山のような事例を府内各地に広げてまいりたいと考えております。

また、森林資源の有効活用もこうした取り組みを継続あるものにするために大変大切であると考えておりまして、議員御指摘の間伐材の搬出につきましては、林業経営構造対策事業や森林づくり交付金によりまして、これまで作業道の開設やこれに接続する簡易な道の整備とあわせ、林業機械の効果的な導入を図るなど、コストの低減を図ってまいりました。

間伐材の活用につきましては、搬出コストを下げるために、ウッドマイレージCO2の認証制度と連携して扶助することにより、丸棒や合板の利用拡大について支援しているところでありますが、今後は、住宅建築用としての用途の拡大にも努めてまいりたいと考えております。

木質バイオマスの活用につきましては、地球温暖化防止の観点からも重要と考えており、これまで具体的な対象も絞りながらさまざまな検討を行ってきたところでありますが、事業化には量の確保、運搬・集積等に要するコストなど多くの課題があったため、いまだ実現に至っていない状況でございます。今後とも、研究を進めている国や大学、企業等とも連携を図り、事業化の可能性をさらに探るとともに、当面は里山整備等で発生した木材や竹材を炭などの燃料や環境浄化材として利用することや、キノコ栽培の体験学習などを通じ活用することを推進してまいりたいと考えております。

◯中小路健吾君

ありがとうございました。

森林につきましては、一つは西山につきましてもほとんどが民有地ということでもありながら、やはり山林が持つそうした公益的機能というのはますます重要になっている課題だと思います。そうした中で、やはり行政と民間の役割分担をしっかりしながら、積極的なお取り組みを進めていただきたいと思います。