議会活動

電気・電子製品の鉛フリーの取組について

平成 17 年 6 月定例会:一般質問 (2)

◯中小路健吾君

次に、電気・電子製品等の鉛フリーの取組についてお伺いいたします。今回はこの課題について、環境政策としての側面というよりも産業政策としての側面からお伺いいたします。電気・電子製品の普及・拡大は我々の生活の利便性を向上させる一方で多くの廃棄物を生み出してきました。現在好調だといわれているデジタル家電の普及もいずれは多くの廃棄物を生み出すことが予想されます。 こういう状況の下、リサイクルの取組はすすめられているものの、現に廃棄されたものや不適切な処分、あるいは適切な処分の経時変化によって、製品の中に含まれた鉛に代表されるような有害物質が土壌や水質を汚染するという問題が指摘されています。

この問題にいち早く取り組んだのが EU です。

EU は「環境の保全と保護ならびにその質を向上し、人の健康を保護し、賢明かつ合理的に資源を利用すること」をその環境政策の目的としており、予防原則および予防的行動を取る原則、環境破壊は優先的に根源を修正する原則、汚染者負担の原則に基づき、2003 年 2 月に WEEE(ウィー)指令と RoHS(ローズ)指令を公布しました。

WEEE とは Wasted Electrical and Electronic Equipment すなわち廃電気・電子機器の 略であり、同じく RoHS は Restriction of the use of certain Hazardous Substances すなわち特定有害物質使用制限の略であります。EU の法体系において「指令(Directive)」は、「規則(Regulation)」が加盟国に直接適用され国内法と同様の拘束力を持つのに対し、加盟各国の新たな国内法の制定や現行法の改正、廃止の手続き後に拘束力が発生するものです。この二つの指令に基づき、EU 加盟各国は 2004 年 8 月 13 日を期限として関連する国内法の整備を行わなければなりません。

WEEE 指令は、廃家電・廃電子機器を分別収集し、回収量・リサイクル率の向上を促すことにより、電気電子機器の廃棄物の予防・減量と、環境負荷低減に結びつけることを目的とした指令であり、2005 年 8 月 13 日までの一年間で機器の最終所有者から廃品を無料で引き取る制度を導入すること、製造者は 2005 年 8 月 13 日以降に販売された自社製品について個々に資金面の責任を持ち、それ以前に販売された製品から発生する廃棄物のリサイクルには共同で責任を負うことなどを規定しています。また、情報技術、電気通信、民生機器の再使用・リサイクル目標は65%、回収目標は75%、小型家電、照明機器、電気・電子遊具、娯楽機器、医療器具、モニタリング・制御装置についての再使用・リサイクル目標は50%、回収目標は70%と数値目標を定めています。

もう一つの RoHS 指令は、電気電子機器類に含まれる特定有害化学物質である水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ臭化ビニフェール(PBB)、ポリ臭化ジフェニテール(PBDE) を原則として使用禁止とすることを規定しており、この指令により 2006 年 7 月1日以降、EU 市場ではこれら6物質を含む電気・電子機器類は実質的に販売ができなくなります。

このように EU においては環境政策として大変厳しい規制の実施が目前にせまっており、そのことは日本の産業界にも大きなインパクトを与えています。

日本の大手電気メーカーでは、WEEE 指令に対応すべく、企業同士の連携によってコスト低減を図るためリサイクル業務を請け負う新会社の設立等がすすめられています。

また RoHS 指令に対しては、特定有害化学物質に変わる代替物質の研究開発や技術開発、新規の設備投資を行うなど対応が急ピッチですすめられています。また部品供給メーカーに対しても同様の厳しい基準に耐えられる製品の納入を促しています。

そこで、京都府の状況とりわけ鉛フリーの問題についてお伺いします。

京都府においては電気・電子機器の部品メーカーあるいはその関連企業がたいへん多く、基幹産業であるという実態から、そうした製品内の部品に含まれる鉛含有はんだに対して、代替合金の検討から実装など技術面はもちろんコスト面も含めた総合的な対策が必要であるとの認識を極めて早い段階からされてきました。

1987 年には中小企業技術センターが旗振り役となり会員 60 社からなる「京都実装技術・信頼性研究会」を発足させ、京都府内におけるはんだ付けの諸問題解決と生産技術開発の支援を行ってこられました。また、平成 15 年7月には全国に先駆けて研究会内に「鉛フリー生産工程標準化 WG」を創設して鉛フリーの問題に積極的に取り組んでいただいているところであります。

この課題について、本年の予算特別委員会で質問させていただいたところ、技術面での鉛フリー化の実現の目途はたっているものの、納入先である製品メーカーごとに使用する材料等が少しずつ違うなど効率面・コスト面において課題があるとのご答弁でしたが、現在ではメーカー間での共通化もはかられつつあると伺っております。

また、はんだ付けの処理方法においてもリフロー・フロー・手はんだなど、技術ごとでの進捗状況はちがうものの鉛フリー化への実現がかなり現実的になってきたとも伺っております。

そこで、まず鉛フリーへの対応における現状と課題をどのように認識されているかお伺いします。また、本府は大変早い段階から全国に先駆けてこの課題にご対応いただいているところでありますが、他府県と比べこの分野における先進性あるいは技術競争力はどういう状況であると考えておられるのか。ご所見をお伺いいたします。

ここで産業政策としての企業誘致という側面から考えれば、こうした技術面での優位性は大きなアドバンテージになり得る可能性を大きく秘めています。

この間、企業誘致においては補助金の増額等をされてきたわけですが、単に自治体同士の補助金競争に陥らないよう京都府としての付加価値、すなわち人材・技術・インフラ整備などを進めていくことがまさに重要であるし、これまでの本府の方針もそうであったと認識しています。

そうであるとするならば、今回の鉛フリーについても企業誘致等、産業振興を行ううえで極めて大きな付加価値の一つだといえるし、その事実をもっと対外的に広報・アピールしていくことが重要になるのではないかと考えます。

そこで、EU での取組の実施が 2006 年7月という一年後に控えた今の段階で、京都府内の電気・電子機器の部品が鉛フリーに対応できる目途がつけられたことをアピールする意味で「鉛フリー宣言」を行うなど、日本にとどまらず世界に向けて情報を発信していくべきだと考えますがいかがでしょうか。ご所見をお伺いします。

21世紀の基幹産業の一つが環境産業だといわれています。その意味でもこうした優位性を活用することが京都府の産業振興に欠かせません。是非とも積極的なご答弁をよろしくお願いいたします。

◯商工部長(辻本泰弘君)

EU圏における有害物質規制による鉛フリーへの対応についてでありますが、京都には、電気・電子関連の世界的なデバイス(機能部品)メーカーや或いはそれに関連いたします中小企業が基幹産業として集積しておりますので、京都議定書採択の地ということからも、全国に先駆けて取組んでまいりました。

全国的には、大手企業と受注企業、いわゆる親子関係の中で、個別に鉛フリーの対応が行われることが一般的でありますが、京都府では、御紹介のとおり、中小企業技術センターが、多様な分野にわたる中小企業の参加を得て、鉛フリー対応のための産学公連携による共同研究を実施してまいりました。

この結果、2006年7月の規制開始に対応する、基礎的な代替技術につきましては、中小企業としては全国トップ水準の技術を確立しつつありますが、発注仕様や設計がめまぐるしく変化するため、引き続き生産現場での検証作業や標準品の作製などを重ねながら、鉛フリー化のリミットに間に合わせてまいりたいと考えております。

こうした業種横断を特徴とする京都府の取組には、東大阪をはじめ他府県企業も参加を希望されるなど、先進的な取組として注目されており、参加企業に蓄積されましたその技術やノウハウは、ユーザーの多様な発注に対応できる技術競争力の強化につながるものと考えております。

今後とも、鉛フリーの取組をはじめ、環境に優しく高性能な材料技術開発や同じEU規制であります電磁波対策等を含めまして京都の産学公連携の先進性としてアピールし、成長分野の新産業育成や効果的な企業誘致につなげてまいりたいと考えております。