議会活動

公共サービスの民間開放のあり方について

平成 16 年 2 月定例会:一般質問 (3)

◯中小路健吾君

最後に、今後の京都府における公共サービスの民間開放についてお伺いいたします。

公共サービスのあり方に関しての世界的な潮流を整理すれば、イギリスにおけるサッチャー改革以降、サービス提供機関の民営化や独立行政法人化、PFI、業務の外部委託といった手法の発展など、これまで行政が中心となって提供してきたサービスを民間部門に開放していく流れが続いており、今日ではPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)、すなわち官民協働による公共サービスの提供という方向性にあると言えます。

こうした潮流の原点にはバリュー・フォー・マネー、すなわち、最小のコストで公共サービスへの要求を満たす、あるいは、支払ったお金に対する最高の公共サービスを受けるといった考え方があります。そうした流れは、我が国の行政改革においても、行政による直接的なサービス供給を前提とした硬直性、競争にさらされてこなかったがゆえの行政の非効率性を改善するための手法として、今や不可避のものとなりつつあり、厳しい財政状況にある地方自治体にとっても有意義な示唆を与えるものです。

そうした中、本府においてはこうした公共サービスの民間への開放に関して、平成 11 年度以降、府立医大附属病院の診療報酬請求業務、放射線科の受け付け業務、洛南病院における給食洗浄業務などを外部委託されてきました。また、PFIに関しては、庁内にPFI事業推進委員会を設置し、現在、舞鶴市の府営舞鶴常団地の建てかえ事業をモデルケースとして事前調査に着手し、平成 16 年度当初予算ではPFI手法を導入するための経費を計上していただいているところでもあります。このように既に一部取り組んでおられる公共サービスの民間開放ですが、さらに京都府行財政改革指針においては、より積極的な方向が示されています。例えばその中の交流・連携促進プログラムにおいては、「民間活力を活用し、最も効率よく質の高い公共サービスを届ける」とし、地方独立行政法人化の検討、PFI手法の導入、適正な民間委託の推進などが掲げられています。

そこで、まず第1に、今後京都府行財政改革指針を実行される上で、適正な民間委託の推進をどういった手順で推進していかれるのか、今後のスケジュールや方向性をお聞かせください。

また、その際には公共性という概念をどのように考えるのか、官民の役割分担をどのように規定するのかが重要になりますが、現時点での知事の御所見をお伺いいたします。

さて、こうした公共サービスの民間開放を積極的に進めるということは、行政部門から民間部門へのさまざまな需要を生み出すことを意味します。そこで、それらの事業者選定の手法に関して数点お伺いしたいと思います。

公共サービスの民間開放の本旨は、さきにも述べたように、バリュー・フォー・マネーという点にあり、だれがその事業を行うのかを決定するプロセスにおける競争環境を構築することと、事業や業務の実施過程において民間のノウハウを活用すること、この2点によって「最小のコストによる最高のサービス」を実現するところにあります。まず前者、すなわち最小のコストという観点からすれば、いわゆる競争入札による価格競争が必要になります。しかし一方で、過度の低価格競争は、ともすればサービスの質の悪化につながりかねません。そうすると、先ほどの後者、すなわち「最高のサービス」という観点から、バリュー・フォー・マネーの条件を満たさなくなります。そこで、現行の価格競争入札においては、サービスの質を確保するために仕様書等によりかなり細かな運用規定や基準が 決められているのが実情です。しかし、そのようにサービス提供の内容を細部まで規定してしまうと、今度は民間のノウハウを生かす余地がなくなり、事業あるいは業務実施の効率性が下がってしまう可能性があります。そこで、こうした問題を解決するために参考になるのが公共事業の分野におけるVE(バリュー・エンジニアリング)と言われる手法で す

これは、入札の際に、民間事業者が民間のノウハウを生かして施工方法等について技術提案を行い、工事実施の効率化を図ることによりコスト縮減を行うものであり、本府においても試行的に実施されているとお聞きしております。

そこで、こうした手法を活用し、事業や業務の実施過程においても民間がより柔軟に対応できるような事業者選定方法に転換していくことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

また、価格要素や技術的要素以外に政策的課題、例えば労働者に対する配慮、環境負荷に対する配慮などさまざまな要素、あるいは先ほどの質問で取り上げた障害者雇用など企業としての社会への貢献度などを指標化し、それらを総合的に評価した上で事業者を選定する総合評価入札という考え方があります。今後さまざまな形での行政から民間への発注がふえていくとするならば、こうした総合評価入札制度は、民間企業に対する社会的価値実現への大きなインセンティブとなり得る可能性があるわけですが、こうした制度の導入についてはいかがお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

◯知事(山田啓二君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

公共サービスの民間開放、その中で民間委託についてでありますが、「かいかくナビ」にも掲げました「民間委託の推進」というところでございますけれども、私は民間委託につきましては2つのアプローチがあるのではないかなというふうに思っております。

1つは、議員も御指摘になりましたように、バリュー・フォー・マネーと申しますか、地域再生でも取り上げているところでございますけれども、地方公共団体の側から民間でもできる部門についてはできる限り民間に委託を推進することにより、民間活力を増大させるとともに、地方公共団体の合理化を推し進めるというものです。これは一般に市場原理が働くような分野において進められているものでございまして、例えば清掃業務の委託など、従来から積極的に外部委託を推進してきたところであります。今後とも、業務の見直しを徹底して行いまして、公務の遂行上も特段の支障が認められない限りは積極的に外部委託を推進すべき分野であるというふうに考えております。

もう1つのアプローチは、住民の側からのアプローチでございまして、これからの府政が住民との協働関係を築く上で、住民から出発して住民がみずからの受益と負担、責任のもとに自立した地域を確立していく上で、地域住民みずからの手でできることは積極的に行っていこうというときに、行政自身もそれにこたえて業務の見直しを行い、民間委託を行っていくというものでございまして、昨日佐川議員にもお答えいたしましたけれども、NPOとの協働関係において、環境問題ですとか福祉関係など多くの事業委託を行っておりますが、これは効率性の追求ということではなくて、まさに自立した府民の方々と府政とが協力して地域づくりを行っていく、そういう関係からの民間委託だというふうに思っております。行政の側から見ましても、例えば最近では河川敷の運動公園でNPOの方に管理運営委託をしていただいておりますけれども、これも効率性ということではなくて、府民ニーズに、よりきめ細やかに対応できるという観点から行っている部分でありまして、こういった部分はどんどん拡大していくべきかなというふうに思っております。

その中で、公共性の考え方とか役割分担についてなんですけれども、最近は地方公共団体の公共ということを「公」と「共」とに分ける考え方、つまり公権力の行使などいわゆる公でしかできない分野を公でやって、そうでない共の分野については事務委託をという考え方も最近提唱されておりまして、これも一つの見解であるというふうに思っておりますけれども、ただ、現実の行政は、時代とともにこういった分野自身がかなり動いてきておりますので、余り公・共の概念自身を定義としてとらえてそこから物事をやっていこうとすると、かえって柔軟な対応を欠くおそれがあるのじゃないかなというふうに思っております。

少々理屈っぽくなりますけれども、例えば公共施設の許可のように公園なんかは、あれは公物管理として許可だったわけですね。今考えてみれば、公園を使わせていただくのじゃなくて、それは府民として使うのは当たり前なわけですから、そういったものを公物管理として考えていく時代ではないと思っておりますし、例えば一番公の公権力の部分で典型的な税につきましても、電算処理なんかの民間委託はとうの昔に進んでいるわけです。

アメリカなんかではもう既に刑務所まで民営化されているわけですから、したがって、余り定義にこだわると変化についていけないなという気がしております。

したがいまして、これからは今申し上げました地方公共団体の側からの民間活力を生かす効率性によるアプローチと、そして府民の側からの行政との協働関係のアプローチ、それぞれの場面で検討していくことによって、より効率的な柔軟な民間委託を推進してまいりたいと考えておりまして、まず第1のアプローチにつきましては、これは「かいかくナビ」に従いまして、外郭団体の廃止・統合とも並行して考えるべき問題でございますけれども、民間委託を行うという考え方を整理した指針をできるだけ早い時期に策定をいたしまして、積極的に推進してまいりたいと考えております。第2のアプローチにつきましては、NPO等民間と京都府の協働関係を進めるアクションプランを来年度策定することとしておりまして、この策定を通じまして積極的な協働関係をつくる中で民間委託を進めてまいりたいと考えております。

◯出納管理局長(安西信隆君)

公共サービスの事業者選定手法についてでありますが、京都府では、公正性や透明性、経済性の確保という観点から競争入札を基本としております。公共事業におきましては、民間の技術開発の進展が著しい工事などでコスト縮減の提案が期待できるものを対象に、工事規模等を勘案しながら、いわゆるVE(バリュー・エンジニアリング)を入札時だけでなく事業実施過程においても試行的に導入し、道路や府営住宅の工事などでこれまでに 11 件実施しているところであります。さらにこの2月には、乙訓地域の下水道事業のいろは呑龍トンネル建設工事におきまして、入札参加者と府との双方がコスト縮減提案を行った上で入札を実施する全国初の入札時VE相互提案型競争入札を行い、設定金額に対して約7億円の縮減が図られたところであります。

議員御提案の、価格や性能、技術力など、総合的に評価する総合評価入札制度につきましては、近年、PFI事業や電算のシステム開発などで適応が広がっているところであり、京都府におきましても、対象となる事業や適正な評価基準のあり方などの検討を行う中で、事業者選定の有力な方法の一つとしてその活用を図っていきたいと考えております。

財政環境が非常に厳しい中、最小のコストによる最高のサービスの実現を図るため、民間の知恵を生かせる事業者選定方法の活用に一層取り組んでまいりたいと考えております。