議会活動

DVの防止対策について

平成 16 年 2 月定例会:一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党・府民連合議員団の中小路健吾でございます。さきに通告しております数点につきまして、知事並びに関係理事者に質問をいたします。

まず、ドメスティック・バイオレンス、DVの防止対策についてお伺いいたします。

DVとは、対両親暴力や幼児虐待を含む家庭内暴力の中で、特に夫婦や恋人など親密な関係にある異性から受ける暴力のことですが、こうしたDVをめぐる事件、あるいはDVを起因とする事件が全国で起こっております。昨年7月には、東京都の板橋区でDV防止法に基づき妻への接近禁止命令を受けていた 47 歳の男が、妻をかくまっているのではと疑った知人を殺害する事件がありました。また、記憶に新しい、名古屋で起こった男子高校生による児童の虐待死事件においても、亡くなった児童だけでなく、その母親に対して頻繁に暴力を振るっていたことが児童への虐待をとめることができなかった一つの原因と考えられております。

こうしたDVが一般的に認識されるようになったのはごく最近のことで、その背景には、平成 13 年に一部施行され平成 14 年4月1日から全面施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、いわゆるDV防止法があります。DV防止法の意義は、これまで、ともすれば男女間の暴力は個人的なトラブルあるいは家庭内の私的な問題であり、法が立ち入ることがなじまないと考えられ放置されてきた問題を「犯罪行為である」と位置づけた点にあります。

このDV防止法施行後、昨年末までに本府においてDV事案として検挙された件数は 92 件で、そのうち妻への接近禁止などの保護命令が出されているにもかかわらず、保護命令違反として検挙された件数が6件あるとお聞きしております。もちろん、この法の内容自体に問題がないわけではありません。保護命令を出せる対象が配偶者、これには内縁関係や事実婚が含まれるわけではありますが、離婚前に保護命令が発せられている場合は離婚後も効力を有するとされていますが、離婚後の元夫の暴力には適用されない、あるいは援護者や被害者の家族は保護の対象ではない、退去命令の期間が2週間と短か過ぎるなど、まだまだ改善の余地があります。しかし、DVが犯罪であり人権侵害であると規定したことに、この法の大変大きな意義があったと考えられます。

本府においても、DV防止法の施行に伴い、婦人相談所に、被害者の相談、一時保護、自立支援等の情報提供、保護命令に係る援助の機能を兼ね備えた「京都府配偶者暴力相談支援センター」が設置され、DV関連の相談件数に関して、月平均で平成 11 年 42 件、平 成 12 年 63 件、平成 13 年一部法施行前 67 件であったのが、平成 13 年の法施行後 260 件、 平成 14 年 475 件と相談件数は急増いたしました。また、本年度から女性総合センター内に「DVサポートライン」を設置し、12 月末までに 627 件の相談が寄せられたとも聞いています。

DVの防止あるいはDVによる凶悪犯罪を未然に防止するという観点からすると、まず大事なことは、潜在的かつ日常的に行われている暴力の実態をしっかりとつかむことです。先ほど申し上げたように、対象が家庭内であったり個人間という極めてプライベートな場所で行われている事象だけに、ともすれば法や公権力が積極的に介入するのではなく、受動的な対応にならざるを得ません。その意味で、そうした問題を抱える方々が相談しやすい体制を整えることがまず必要になります。

現在、本府においてDV関連の相談窓口は、前出の「京都府配偶者暴力相談支援センター」や「DVサポートライン」に加え、京都市の「女性総合センター」、法務局の「人権ホットライン」、各市町村の女性関連の相談窓口、府警本部や各警察署の相談室、NPO等民間の相談機関などがありますし、パンフレット等による啓蒙活動等に御尽力いただいているところと存じます。

そこで、まずお伺いいたします。こうした相談機関に相談することは、被害者にとっては大きなリスクを背負うことになりかねません。相談した事実が加害者からのさらなる暴力を受けるきっかけとなる可能性があるからです。また、家庭内あるいは個人的な問題を外部に知らせることは勇気の要ることでもありますし、被害者の多くは心的なストレスを抱えておられるケースも多いと考えられます。そうした観点からすれば、相談者のプライバシーをしっかりと保護すること、相談者の精神面に対する配慮が重要なわけですが、本府の窓口においては相談者のプライバシー保護や精神面に対する配慮のためどのような点を考慮されているのでしょうか。今後への課題認識とあわせてお伺いいたします。

次に、受けた相談に対して保護命令の申請や一次保護など適切かつ迅速な対応が必要になるわけですが、各行政機関、警察本部、あるいは団体間の連携体制はどのようになっているのでしょうか。

また、DV防止法の附則には、施行後3年をめどに見直しを行う旨が書かれております。今後、法の実効性をより高めるための課題認識について、御所見をお伺いいたします。

さらに、警察本部におかれましても、DV相談の現状や相談者に対する配慮、そして、最近のDV事案で検挙された状況やその特徴についてお伺いいたします。

◯保健福祉部長(戸田雄一郎君)

DV防止対策についてでありますが、配偶者暴力相談支援センターなどの相談窓口においては、DV被害者の安全確保と安心して相談いただける体制づくりが重要な課題と認識しておりまして、これまでから面接相談は、プライバシー保護について十分配慮するとともに、相談に当たっては相談員がきめ細かな対応を行い、被害者の方の状態に応じて、必要な場合には臨床心理士など専門家によるカウンセリングを実施するなど、精神面のケアについても積極的に対応しているところでございます。今後とも、DV被害者の方の安全とプライバシー保護に配慮したより徹底した情報管理と相談体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

関係機関等との連携につきましては、警察や地方裁判所とも緊密な連携を図る中、被害者の方の相談から自立までのそれぞれの段階に応じて配偶者暴力相談支援センターが核となり、司法、医療、福祉、教育等の関係機関・団体が必要な援助を連携して行い、被害者の安全の確保と自立支援に努めているところでございます。

現行のDV防止法の課題につきましてですが、議員から御指摘いただいた点や、住民に身近な市町村の役割、被害者の方の自立支援、加害者の更生について触れていない点などを課題と認識をいたしております。このため、京都府におきましては、昨年3月に全国の主要都道府県とともにこれらの課題について国へ改善を提言したところであります。最近取りまとめられたDV防止法の改正案骨子によりますと、これらの課題の多くが取り入れられていると伺っており、一刻も早く実効性ある法改正が行われますことを期待しているところであります。

◯警察本部長(米田壮君)

中小路議員の御質問にお答えいたします。

DV相談の現状につきましては、平成 15 年中に当府警に寄せられましたDV相談の件数は 591 件であり、一昨年と比較し約 16.8%減少となっております。

相談者に対する配慮といたしましては、警察本部及び各警察署に、取り調べ室と別に個室の相談室を設けるなど、相談しやすい環境の整備に努めておりますほか、相談者の希望に応じて女性職員が相談の対応に当たるなどにより、相談者のプライバシーの保護、精神面に対する配慮を行っているところであります。また、相談の内容に応じて避難場所の紹介や保護命令申請手続の教示等、相談者の立場に立った相談受理に努めるとともに、相談者の意向を尊重しつつ、加害者に対する警告、さらには刑罰法規を適用しての検挙の措置を迅速に講じるなど、総合的な保護対策を行っているところであります。

DV事案の検挙状況につきましては、平成 15 年中は、DV防止法に基づく保護命令違反として4件、配偶者間の暴力等事件として 41 件、計 45 件を検挙しておりまして、これは一昨年と比較いたしますと約 21.6%の増加ということになっております。

DV事案の特徴としては、被害者は暴力問題と同時に、子供の養育、就学、あるいは離婚後の生活等深刻な問題を抱えている場合が多く、警察への早期の届け出をちゅうちょするなどのため、被害が長期化、悪化する傾向にあります。警察としてはこういう点も踏まえ、今後とも、早期の相談や被害申告を呼びかけるなど、広報啓発活動を推進するとともに、関係機関・団体等と緊密な連携を図りつつ、事案に応じた効果的な保護対策に努めてまいりたいと考えております。