議会活動

今後の公共交通政策の展開について

平成 26 年 6 月定例会 : 一般質問 (1)

◯中小路健吾君

民主党京都府議会議員団の中小路健吾でございます。
先に通告しております数点につきまして、知事ならびに関係理事者に質問をいたします。

まず初めに、本府における今後の公共交通政策の展開について質問をいたします。

今後の公共交通政策のあり方について、私自身は、兼ねてから、第一に、本府全体の広域的な交通体系ネットワークづくりという観点はもとより、市町村が主体となった地域内での交通体系づくりにおいても、公共交通機関としてのバスや鉄道単体での事業のあり方、高速道路や幹線道路の整備方針、さらには公園や公民館、病院など公共的な都市機能を果たす施設などの配置といったまちづくりを「総合的」に進めていくことの必要性。第二に、人口減少や高齢化が進む中にあって、公共交通機能の利便性の向上や施設配置を通じて、新しい人の流れや賑わいを意図的かつ積極的に作り出していく「戦略的」な取り組みの必要性を指摘して参りました。

そこで、こうした観点から、この間、公共交通やまちづくりに関して、国で制定および改正された、いくつかの法律に基づく本府の今後の取り組みについて基本的な考え方をお伺いしたいと存じます。

その一つが、昨年12月に成立をした「交通政策基本法」です。

基本法においては、「交通が、国民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活発な地域間交流並びに物資の円滑な流通を実現する機能を有する」としたうえで、「交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要」であるという基本的認識の下、急速な少子高齢化の進展など社会経済情勢の変化に対応しつつ、「交通が、豊かな国民生活の実現に寄与するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化及び地域経済の活性化その他地域の活力の向上に寄与するものとなるよう、その機能確保及び向上が図られること」、「大規模な災害が発生した場合においても交通の機能が維持されること」、「交通による環境への負荷の低減が図られること」などを求めたうえで、その理念を体現するための基本的な施策が第16条から31条において規定をされ、その実施を国及び地方公共団体、交通関連事業者及び交通施設管理者の責務としています。

とりわけ、私自身は、今回の基本法制定の大きな意義と考えるのは、「日常生活に必要不可欠な交通手段の確保等(第16条)」、「高齢者、障害者、妊産婦等および乳幼児を同伴する保護者の円滑な移動のための施策(第17条)」が明記をされた点にあると考えます。

法制定への過程の中で議論されてきた「交通権」や「移動の自由」をめぐる理念を、言葉は明記されなかったものの示しているのがこの条項ではないかと考えるからです。そして、今回の基本法の成立は、どちらかと言えばこれまで事業者任せになっていた公共交通政策について、自治体が、公共交通政策を実施していくべき主体としてより積極的に役割を果たさなければならない立場になったことを明確に示したものであると考えます。

そこで、まず、今回の交通政策基本法の制定の意義を本府としてどのように受け止めておられるかご所見をお伺いします。

さて、こうした交通政策基本法の理念に基づき、さる5月に、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」、いわゆる「公共交通活性化・再生法」と「都市再生特別措置法」の法改正が行われました。
前者は、人口減少や高齢化が進展する中、地域社会の活力を維持・向上させるため、コンパクトなまちづくりと連携しつつ、地域公共交通ネットワークを確保することが喫緊の課題であり、民間事業者の事業運営に任せきりであった従来の枠組みから脱却し、地方公共団体が先頭に立って、持続可能な地域公共交通ネットワーク、サービスを形成することを目的としており、今回の改正で、「地域公共交通網形成計画」の策定主体に都道府県が追加をされました。

また、後者の「都市再生特措法」は、とりわけ、戦後の人口急増期に拡散的に形成されてきた地方都市や大都市における急激な高齢者の増加を見据えて、都市全体の構造を見渡しながら、住宅及び医療、福祉、商業などの施設の中心部への誘導と、それと連携した公共交通に関する施策を一体的に実施しコンパクトなまちづくりを支援しようとするもので、主に市町村の計画策定により「都市機能誘導区域」への医療・福祉施設、商業施設などの集約化や「居住誘導区域」への住宅の集約化を促すものです。

私が、今回、こうした法律改正に注目をしたのは、法改正の背景と本府の今後の姿を重ね合わせ、公共交通機能の維持および充実・強化を図っていく上で、大きな示唆を与えてくれると考えるからです。

既に、中山間地を中心とした人口減少地域においては、公共交通機能の維持は喫緊の課題となっています。今後、大都市近郊の郊外型都市として発展してきた地域は、急速に高齢者自体の数が急増することが予想されており、マイカーがあることを前提としてきた世代の方々の移動の確保が課題になってきます。また、車を運転できない子どもや学生の通学や日常生活における移動という観点からも、さらには、高齢者のみならず、働く世代の方々にとっても、公共交通の利便性の向上や新しい交通ネットワークの構築は移動に関する選択肢の拡大という意味でも大きな意義を有します。

また、本府においては、来春の京都縦貫自動車道の全線供用開始や、北近畿タンゴ鉄道の経営形態の移行、さらには日本海側拠点港としての京都舞鶴港の機能拡充、阪急西山天王山駅の開業と新たな高速バス停の設置など、府全域をつなぐネットワークや社会資本が大きく変化しております。

以上の観点からしても、総合的かつ戦略的な公共交通体系づくりを進めていく上での計画的な施策の展開が必要な時期になってきているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

このように公共交通の機能に注目した社会資本の整備を図っていく上で重要なことは、公共交通の利用者全体のパイをいかに拡大していくかです。

そして、その方策の一つは、観光需要など外から人を呼び込むことです。

現在、本府では「海の京都」や「西の観光」など、新しい観光資源の掘り起こしと発信を強化しているわけでありますが、それら施策を進めていく上でも、多様な移動手段の確保と提供が必要になります。

また、もう一つの方策は、マイカー利用から公共交通機関利用への転換を進めていくことです。
これには、息の長い取り組みが必要になりますし、市町村の取組みとの連携が欠かせません。しかし、府内の道路網整備が進みつつある今日、バス路線の活用などによって新しい交通ネットワークを構築していける可能性は拡大をしています。

そこで、本府として公共交通の利用拡大に向けてどのように取り組みを進めていこうとされておられるのか、ご所見をお伺いします。

◯建設交通部

まず、交通政策基本法についてでありますけれども、利用者の減少により公共交通の維持・活性化が大きな課題となっている一方、これからの高齢化時代を考えた場合、公共交通の充実は非常に欠かせない課題であると言うふうに考えております。今回の新法は、公共交通が地域活性化のために不可欠な地域の装置・社会インフラであるとの認識のもと、交通事業者のみならず、国、地方公共団体、国民等が役割を分担し、これまでバラバラに行われていた交通施設を相互に連携を図りながら効果的・効率的に進めるという基本理念が盛り込まれたものとなっております。

京都府におきましては、この間、JR奈良線や山陰本線をはじめとした鉄道の事業の複線化、また、北近畿タンゴ鉄道の上下分離、こうしたものにつきまして、交通事業者だけではなくて、自治体、地域が一体となって取組を進めてきたところであります。こうした地方の苦労が認識されまして、新法の成立を契機に、今後、我々が行ってきた施策に、単なるお題目としてではなく、財政面も含め、国が積極的に支援をしてくれることを期待したいと思っております。

計画的な施策展開についてでありますけれども、「明日の京都」の中期計画に「府域内外の移動をしやすくすること」それを京都力発揮の重点課題として位置付けました。

既に、JR山陰本線、奈良線の複数化・高速化や京都縦貫自動車道の全線開通など骨格的な南北軸の整備に加え、阪急西山天王山駅の新設に併せた高速バスや路線バスとの接続、パークアンドライドによる自動車との乗り継ぎなど、横軸補完交通を絡めることによって、府域の活力を高める交通基盤づくりを推進してまいりました。そうした取組が、長岡京市がまちづくり功労者国土交通大臣表彰という形で結実されたことを大変嬉しく思っているところであります。

また、KTRの上下分離につきましては、交通政策基本法の理念を具体的に進める「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づきまして、京都府を含め沿線自治体、交通事業者が連携して、KTPと路線バスとの乗り継ぎ改善やダイヤのパターン化などを盛り込んだ「地域公共交通網形成計画」をこの秋に策定し、北部地域全体の公共交通を計画的に進めるというかたちで、これからバランスを取っていけたらと思っております。

これからの高齢化時代や環境問題を見据えますと、公共交通の利用拡大というのは、ある面では当然のことだというふうに思っております。

私共も、ヨーロッパの交流関係都市へ伺っておりますけれども、エディンバラでも新しいLRTを造るためにメインの道路を改修されておりましたし、ラングドック=ルシヨンの首府でありますモンペリエでも今もLRTを盛んに造られていく、今まさに、ヨーロッパ諸国を中心に、都市交通のあり方を根本的に変えようという動きが出てきているところでありまして、我々はやはりこういった動きというものが、高齢化問題と環境問題が相まって、まさに、地域全体のまちづくりのあり方として取り上げられていることをしっかりと受け止めて交通政策とまちづくりを一体的に進めていかなければならないと考えているところであります。

まさに、府域においても、今「海の京都」事業のように観光も含めての地域振興策と一体となって公共交通ネットワークの整備をモデル的に進めているところでありまして、天橋立エリアでは、KTRの駅舎、ホームの改築、駅前広場、駅へ至る府道の整備を進めており、それに加えて、駅前から丹後半島を周遊する新しいデザインのバスと新造船による伊根航路がこの夏から運搬されるという形で公共交通自身が面的になってきてまいります。

こうした動きを私共は、さらに、今御指摘があったように、各地域の特徴に応じた形で市町村ともしっかりと連携をしながら創り上げていく、これが、これからの時代における公共交通の地方自治体の大きな役割となって、期待されているところだというように感じているところであります。